2018/12/08

「プレ金大学」がつくる社会人教育の新文化!(常葉大など)


これから18歳人口が大幅に減っていくことがわかっている大学にとって、社会人をどう取り込んでいくかは大きな課題です。実際、さまざまな大学が、さまざまなやり方で、社会人にアプローチをかけています。今回、見つけた取り組みも、その一つ。つっこみどころがないこともないですが、やり方としてはとても興味深く感じました。

以下、大学プレスセンターより。

「プレ金大学」全国9大学でスタート -- 経済産業省が常葉大学などと連携 
プレミアムフライデーと連動して、社会人に対し新たな学びの場の機会を大学が提供する「プレ金大学」が全国9大学でスタートしました。仕事帰りのリカレント教育(社会人の学び直し)が広がる契機になるよう、趣旨に賛同した大学が経済産業省と連携して講義や交流会を開催。静岡県内では、11月30日(金曜日)に常葉大学静岡草薙キャンパスにて開催されました。(後略)

プレアムフライデーは、取り組みがはじまって間もないものの、すでに若干なつかしい気さえします。このプレ金を利用して、大学で学びを楽しもうというのが今回の取り組みです。

公式サイトをのぞいてみると、今回のリリースで紹介されている常葉大学以外にも、いくつかの大学の名前が確認できました。講座の実施日が金曜ではない大学もあり、足並みがうまくそろっていない印象があります。それに講座の開始時間が16時台のものが多く、プレ金が実施されていないと、そもそも社会人が利用できないものが大半でした。現段階では、プレ金が社会に浸透しているとは、とてもいえない状況なので、参加したくてもできない人が多そうです。

とはいえ、これから社会人を取り込んでいくうえで、“仕事帰りに大学で学びを楽しもう”というアプローチはとても魅力的です。アプローチというより、文化の創出という方が近いのかもしれません。現在のところ、仕事帰りに、趣味として、楽しみとして、大学に足を運ぼうという考えは、社会にまったく根付いていません。これを社会に浸透させるために、一つの大学が躍起になっても、砂漠に水を撒くようなもので意味がありません。多くの大学が同じ認識をもって、せーので、一緒にやってこそ少しずつ変わっていく可能性があります。そう考えたとき、プレ金は一つのいいきっかけになるのかもしれません。

社会人向け教育を強引にわけるなら、生涯教育(教養系)とリカレント教育(実学系)にわけられるように思います。前者のメインターゲットはシニア世代ですが、これを働き世代にも広く活用してもらえるようになれば、それだけで社会人向け教育のターゲット層は大きくふくれあがります。

プレ金大学はとてもいい考え方ではありますが、プレ金(早く帰れる金曜日)ありきで進めると、プレ金そのものが浸透しなければ、この取り組みも頓挫してしまいます。なのでぜひ、プレ金を契機としつつも、早く帰れない社会人(たぶんこっちが大多数!私も!)にも配慮して講座を設計してもらえると、この取り組みはさらに魅力的になるんじゃないでしょうか。

それに、単純に金曜の夜に公開講座をするだけでは、人はなかなか集まらないように思います。以前、ほとんど0円大学で何度か取り上げたナレッジキャピタルの超学校シリーズ(これとか、これとか、これ)なんかは、働き世代のニーズにうまく合わせた公開講座でした。講座を実施するナレッジキャピタルが、JR大阪駅に隣接しておりアクセス抜群。さらにこの講座、お酒を飲みながら受講できるんです。

プレ金大学も“金曜の仕事帰り”というシチュエーションをよくよく理解して、講座を作り込んでいくことが必要です。そういう意味では、講座のテーマ設定はもちろん、受講形態や場所にも工夫の余地があります。ぜひ、各大学が力を合わせながらも競い合い、面白い講座が出てきたらいいなと思います。いい感じの講座ができましたら、ぜひ、ほとゼロで取材させてください!

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