東大が何位だったとか、京大が去年に比べてどうだったとか、けっこう大々的に報じられる大学の世界ランキング。2013年に国が今後10年で世界大学ランキングトップ100に日本の大学を10校入れるという目標を掲げたことでも話題になりました。
この世界大学ランキングのなかで、最も権威のあるものの一つ、イギリスの教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(Times Higher Education、THE)」の日本版がつくられるようです。
以下、リセマムより。
THE世界大学ランキングは国内に必要?ベネッセと作成者が解説…日本版も予定
(前略)なお、TES GLOBALとベネッセは現在、THE世界大学ランキング日本版を策定中であることを明かした。日本の大学を適切にランキング化するため、THEのランキング指標は日本に沿ったものに改められる予定。国内で発表されているランキングは「就職率」「偏差値」などさまざまあるが、ベネッセによれば、THEで評価の基準とするランキング指標や評価方法に関する詳細は未定。今後詳細を決定し、2016年内の発表を目指す。(後略)
今回、紹介した記事のタイトルに「THE世界大学ランキングは国内に必要?」とありますが、私個人の意見としては、いらないんじゃない? というのが本音です。というのも、大学とひとことで言っても、教育内容も育成したい人材像も社会で担う役割も、けっこう大学ごとに異なります。そういったなかで、大学の順位付けを行うというのは、さまざまなアスリートを一堂に集めて誰が一番強いかを決めるような強引さを感じてしまうからです。
財務状況、就職率、専門とする分野における研究レベル・教育レベルなどなど、それぞれの分野でどの位置にいる大学なのかという情報は意味があるでしょう。しかし、総合的なランキングは、あまりにも大雑把な切り口になり、誰のどんなニーズに向けてつくっているのかがイマイチよくわからない。ただ漠然と、この大学はいい、この大学は悪いという、イメージづけがされるだけではないかと思うのです。そして、受験生はじめ一般の人の中には、このイメージだけでお腹いっぱいになり、ろくに調べもせず、大学のことをわかった気になる人が大量にいるんじゃないかと思うのです。
しかも、THEという権威のある大学ランキングの場合、大学、とくに上位に名を連ねる大学ほど、このランキングに関わる項目に力を入れざるを得ないようになる可能性が高い。結果、大学ごとの個性がつぶれていくのではないか。規模やレベルの差こそあれ、同じような大学が並ぶというのは、整形美人が大量に集まるような、何ともいえない薄気味悪さがあります。
大学には多様性が必要です。これがあるからこそ研究の裾野が広がるし、大学ごとの個性や魅力、強みが生まれるのだと思います。今回のTHE日本版ランキングは、この多様性を削ぎ取る悪手になりかねないんじゃないだろうか、そんな気がしないでも…いや、けっこうするのです。
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