卒業生から寄付を得よう、サポーターになってもらおうと、積極的に情報発信する大学が近年かなり増えてきています。今後18歳人口が減っていくことを考え、経営を安定化させるためには、受験生だけに頼るわけにはいかない、そう考える大学がたくさんでてきたからなように思います。
しかしです。ただ情報を伝えるだけで、どれだけ卒業生の心は母校に向くのでしょう。ただ伝えるだけでは、少しパンチが足りないんじゃないの? そう思っていたところ、面白い卒業生向け特設サイトを立ち上げて卒業生とコミュニケーションをとる大学を見つけましたので、ご紹介します。
以下、大学プレスセンターより。
東京理科大学が卒業生向け特設WEBコンテンツ「理科大思い出アルバム」を開設 -- 卒業生と大学の双方向性コミュニケーションを促進
東京理科大学(学長:藤嶋 昭)は1月27日(水)に同窓生向け特設WEBサイト「理科大思い出アルバム」を開設する。これは、多くの卒業生たちが紡いできた同大での思い出の数々を、写真を通じて共有し合い、アーカイブ化していくことを目的としたもの。卒業生と大学の双方向性コミュニケーションを促進する。サイトは一般に公開され、卒業生以外も閲覧できる(写真の投稿は卒業生のみ可能)。(後略)
東京理科大の卒業生向けサイト「理科大思い出アルバム(https://omoide.tus.ac.jp)」 |
平たく言うと、卒業生を限定にした昔の写真投稿サイト。コンテンツ制作の仕事をする私としては、個人情報まわりが少し気になるところなのですが、これ、かなり面白そうです。
卒業生に向けたコミュニケーションで、よく愛校心とか、大学への帰属意識といった言葉が出てきます。でも、ほとんどの卒業生にとっての関心ごとは今の大学じゃなく、自分たちがいた時代の大学であり、そのとき時間を共有した人たちだと思うんですね。卒業生のこころは、大学ではなく、過去とつながっているわけです。
だから、大学が教育改革をしたとか、キャンパスを増築したとか、“今の大学”を声高に謳っても、いまいちピンとこない。それより、昔のゼミ担当教員や友人が写り込んでいる写真を見た方が、よっぽどうれしいし、自分と大学とのつながりを実感できる、そんな人がたくさんいるように思います。
このサイトは、時代、場所、イベント行事などで写真を細かく区分しているにも関わらず、つくりがかなりシンプル。そのため、昔の思い出にとくに興味をもちそうな年輩の人でも、迷わず使うことができます。それに、各写真にSNSボタンがついているのも◎ 友達や恩師が写っている写真を見つけたら、当時の友達に教えたくなる人がたくさんいるはずで、そんな気持ちにしっかり応えられるようになっています。
勝手な想像ですけど、こういう古い写真が学生時代の友達から送られてくると、ひさびさに会おうとか、同窓会をやろうとか、そういった話になりがちな気がするんですね。大学時代の思い出話なんて、かなり美味しい酒の肴なわけですから。
こんな状況が生まれることを踏まえ、このサイトをきっかけに同窓会を行うときは大学側が補助を出すとか、そもそもこのサイトが主催となって同窓会を開くとか、そういったネットとリアルをつなげる取り組みを、次のステップとしてやってみてはどうでしょうか。これができると、大学と卒業生との距離がグンと縮まるだけでなく、卒業生同士の交流も盛んになるわけで、大学を支える新たなコミュニティを築けそうです。
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