2014/10/25

チバニーというコロンブスの卵(千葉工大)


奇抜なものであったり、かわいいものであったり、大学にはオリジナルのキャラクターをつくって、広報に活用するところがけっこうたくさんあります。これら大学キャラクターのなかで、今じわじわと人気が出ている千葉工業大学のチバニーを、みなさまはご存知でしょうか?

この大学キャラクターは、デザインがユニークなうえ、広報的な視点でとらえても、なかなか理にかなったデザインがされています。何はともはれ、まずはどのようなキャラクターなのかご覧ください。




シンプルなフォルム、顔にはでかでかと「千葉工」の文字。文字を顔っぽくしてやろうという気が、まったくなさそうなところがステキです。

このキャラクターをつくったのは、イラストレーター兼絵本作家の坂崎千春さん。ダイハツの四角いメガネをかけたシカ「カクカクシカジカ」や、JR東日本のSuicaに描かれている「ペンギン」のデザインを手がけた方のようです。さすがというか、チバニーもとてもシンプルなのに、ユーモラスでかわいいですね。どこか不思議な魅力のあるキャラクターにしあがっています。

おそらくどの大学であれ、大学がキャラクターをつくるとき、そのキャラクターの設定やフォルムに何かしらの理屈が必要になります。たとえば、学生がデザインしたとか、キャラクターが着ている服に大学のエンブレムが入っているとか、キャラクターの性格に育成したい学生像が反映されているとか。何かがないと、なぜこの大学で、このキャラクターなのか説明がつかないし、説明がつかないとそこにツッコミをいれる人が、大学という組織(体質?)上、必ずでてきます。

でも一方で、これら理屈が先に立ってしまうと、キャラクターは急に説明くさくなり、魅力を急速に失っていきます。大学らしさをうまく出しながら、魅力的なキャラをつくる。これが大学キャラクターをつくる難しさであり醍醐味です。

チバニーはこういった条件が課せられている(たぶんですが)なかで、大学の特色やら理念といった、こむずかしいことには触れず、大学名をでかでかと顔に書くという手法を採用しました。こうしてしまうと、あれこれ説明をしなくても、誰が何と言っても、チバニーは千葉工大のキャラであることが説明つきますよね。

さらに言うと、大学キャラクターはつくって終わりではなく、このキャラクターを上手に使って、キャラクターを見たら「あっ、○○大学だ!」と高校生たちに直観的に理解してもらってこそ、はじめて広報的な意味をもちます。

しかし、高校生が大学に興味をもつのは、せいぜい高校2年の途中から受験校が決まる3年の秋ごろまで、期間にして1年強です。この間に高校生に、大学キャラ=大学の図式を刷り込ませなくてはいけません。そういう観点から見ても、チバニーの顔に大学名を書いちゃう、という方法は非常に効率的で、すぐに高校生の脳裏に大学と大学キャラをひもづけて覚えてもらえるように思います。

まぁ、このような理由で、チバニーは広報的にかなりイケているのですが、でもやっぱりすごいのは、顔に「千葉工」と書いているにも関わらず、チバニーがとてもかわいいことです。普通は大学名を、顔であれ、お腹であれ、背中であれ、大きく書いているキャラクターは残念な感じになってしまいます、というか、ならないわけがありません。でも、そうならなかったというのが、チバニーの何よりのすごさなように思います。

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