学園祭といえば大学と地域を結ぶ、いちだいイベントです。これまでに私も仕事やら、仕事なのか趣味なのかよくわからないやらで、いろいろな学園祭にうかがったことがあります。
そのなかで、東京外国語大学の「外語祭」は一番印象深かったといっていい学園祭なのですが、思わぬことでピンチに立たされているようです。
(以前、書いた外語祭のレビューこちら)
「世界の料理」7割ピンチ 東京外語大の学園祭模擬店、保健所から「待った」 手間かけ調理、衛生規定満たさず
毎年11月に開かれる東京外国語大(東京都府中市)の学園祭「外語祭」の出店で、例年販売されている世界各地の料理の多くが、今年は保健所の指導で提供できない可能性がある。保健所が調べた結果、衛生上の規定を満たさないとされたため。学生は食材を変えるなど対策を検討中だが「魅力がなくなる」と不安も漏れる。(後略)
各専攻で言語を学ぶ国・地域の料理を提供する「専攻語料理店」は、外語祭の“目玉”となる催しなのですが、これの7割の料理が提供できないかも、というのが今回の記事になります。
ちなみに「新たにメニューを集約し、約150のレシピを〜」と記事にありますが、このレシピ数ってすごいですよね。ほとんどの学園祭では、縁日の屋台メニュー+αぐらいしか提供していないので、ここからだけでも外語祭の特異性が感じ取れます。
外語祭は、地域貢献としてはもちろん、大学広報としても魅力的な取り組みなので、パワーダウンしてしまうのは非常に残念です。ちなみにこの学園祭のとくに優れている点は、学びを上手にエンターテイメントに昇華しているところです。
専攻語料理店であれば、どのような言語圏について学んでいるか料理を通して理解でき、さらに学生たちがレシピを調べて料理をつくるため変則的な文化研究発表的な側面もあります。
また、外語祭にはもう一つ“目玉”となる催しとして、学生たちによる専攻言語を使った劇「語劇」があります。これも日本語字幕が出るうえ、非常にレベルの高い演劇のため、学びの成果を利用したエンターテインメントとして成立しています。
思うに、大学間の広報合戦は年々激化しており、“伝える”という視点からの情報発信で他より大きく抜きんでるのは難しくなってきました。それに情報があふれかえっている現在、その気にさえなれば、あの手この手で伝えなくても、けっこうなところまで自分で調べることができるんですね。
こういったなか効果があるのは、“伝える”ことより、“興味や好奇心を刺激する”ことなのではないかと思います。言い換えるなら、自校の魅力を使っていかに相手の気を引けるか(=エンターテインメントできるか)だと。単純な話、本当に欲しい情報を別にすると、伝える人より楽しませてくれる人の方がずっと好感を持ちますから。
前回、取り上げた京都造形大のムック本に通じる内容ではあります。でも、この視点で情報発信すること、コトを起こすこと、それが今後の大学広報で大事になってくると、最近よくよく思うわけです。それにこういった切り口が増えると、受験生はもちろん、社会が大学を見る目も変わっていきそうで、それにもワクワクします。
……なぁんてことを考えているので、こういった切り口の“お手本”となる外語祭には、今後もぜひとも頑張ってもらいたいものです。ガンバレー!!
0 件のコメント:
コメントを投稿