2015/07/05

卒業生支援は大学の在り方を変える


新入生支援からはじまり、学習支援、学生生活支援、資格取得支援、キャリア支援、そして就職支援と、入学から卒業までの間、大学ではビックリするほどさまざまな支援が展開されています。

今や学生への支援がいかに行き届いているかは、志望校選びにおいて大きなポイントなのです。そのため、最近では学生にとどまらず、卒業生に対しても手厚い支援を行う大学が増えてきているようです。

以下、毎日新聞より。

卒業生を長く、手厚くケア 再就職、婚活などで他大学と差別化 
再就職、仕事の悩み相談から婚活まで。卒業生を手厚くケアする大学が増えている。卒業時の就職率や就職先だけでなく、OB・OGがその後、社会でいかに息長く活躍しているかによって、他大学との差別化を図ろうという狙いだ。(後略)

記事を読んでいくと、転職支援、健康面の支援、婚活の支援など、かなり多彩な支援が出ていました。キャリア関連の支援は予想がつきましたが、婚活といったプライベートな部分まで踏み込んで支援するのには驚きました。もう、近所の世話焼きおばちゃんレベルのきめ細やかさです。

ともあれ、大学の支援が大きく変わろうとしているのかな、という印象をこの記事を読んで強く感じます。学生のものから、その大学に在籍したすべての人のものへ。学生時代を対象にしたものから、一生続くものへ。

そうなると、学生にとってこんなにステキな機関はありません。基本的に学生が大学に支払っているのは学費なわけで、支援に対して特別に金銭を支払っているわけではありません。それなのに、これだけ多種多様な支援が受けられ、さらに卒業後も続く……。恐るべきコストパフォーマンスの良さです。

とはいえ大学も手間こそ莫大にかかるもののメリットもたくさんあります。とくにここ十数年で“大学の商品化”が急激に進んでいるわけで、受験生やその親は大学を損得で選ぶ風潮が強まっています。こんななか、一生ものの支援が受けられるというのは、かなりパンチの効いたアピールになるのではないでしょうか。

それに、大学業界全体としてこれら支援が充実していくと、受験生は大学を“一生もののパートナー”として捉えるようになっていきます。そうなると志望校を選ぶ基準も今とはだいぶ変わっていくはずです。

また、これら支援は受験生へのアピールになるだけでなく、卒業生に社会人向けの教育プログラムや有料公開講座などを提供するチャンスにもなるし。学生や新卒だけでなく、幅広い世代に対応した支援体制(とくに就職関連)が整うと、社会人進学をめざす人が今より増えていくようにも思います。

なんかこう書いていくと、大学、学生、双方にとっていい感じですね。とにかく、新たな大学と受験生の関係づくり、さらには大学の在り方を変えていくうえで、卒業生への支援はひとつのトリガーになる可能性があります。まだ未発達な分野なので、今、体系化して大きく打ち出すと話題になるはず。大学関係者はぜひぜひご検討を!

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