2015/08/29

入試広報の答えは足元にあり(大阪大)


気がつけばもうすぐ秋です。大学関連の広報に関わっていると、そろそろ次年度の大学案内の内容を固める時期になります。こういった時期なので、よく大学案内、ひいては入試広報でどういった表現・展開をするべきかなんてことを考えるのですが、今回すこしヒントになるかもしれない記事を見つけたのでご紹介します。

以下、YOMIURI ONLINEより。

阪大生は自己評価控えめ…世界の大学と調査比較 
阪大生は自己評価が控えめ?――。大阪大の学生が国際的な尺度で自らの実力を測った調査結果がまとまった。学習時間は海外の一流大の学生とほぼ互角だったが、人を引きつける話術やリーダーシップなど、日本の大学の人材育成で求められている能力については、軒並み低かった。(後略)

記事は大阪大学と世界の大学との比較調査についてなのですが、こういった調査を行うことで学生のカラーってけっこう明確に見えてくるんじゃないかと感じました。ちなみに学生のカラーというのは、早稲田はバンカラ、慶應はハイカラ、東大はインテリだけど官僚的、京大は破天荒で野生的(?)みたいなやつです、かなり大雑把ですけど…。

で、この自校の学生のカラーというのが明確に理解することができれば、大学広報、とくに入試広報でけっこう役に立つように思うんですね。

というのもまず、学生のカラーは大学の教育環境であったり、育成する学生像に大きく関わる要素のため、これ自体が貴重な広報材料になります。ネガティブな結果しか出なかったら……と考える方がいるかもしれません。でもこれは就職活動で自己分析結果を自己PRに活かすのと同じ。積極性が乏しいのは冷静沈着、協調性がないのは個性的などなど、視点を変えればほとんどがアピール材料になるはずです。それに仮にならなくても、今後の課題を見つけ出すことができます。

もう一つ考えられるのは、広報の展開や表現を考えるうえでの指針としての活用です。

受験生という膨大な数の人たちをターゲットとし、自校のどこが彼ら彼女らに響くのか、どんな表現が好まれるのかを考えるのは、恐ろしくつかみどころのない作業です。大学のなかには、これら作業をハナから放棄して、受験生ではなく競合校を見て、広報展開やアピールポイント、表現を考えるところも少なからずあります。

しかし、自校に通っている学生たちは、他のどの大学でもなく自校を選んだ人たちであり(当たり前ですが…)、年齢も受験生とさほど変わらない人たちです。ということは、こういった在学生のカラーと、“自校のことが一番響く受験生のカラー”は、ほぼイコールなのではないでしょうか。

指針となる受験生のカラーがわかれば、いろんな判断が容易になるし、競合校の動きにこれまでほど右往左往しなくなります。延いては広報に軸ができ、広報効果やイメージの積み重ねがしやすくなるのではないかと思います。

競合校という横を見るのも、受験生という大海原を眺めるのも大切です。でもまずは、自校に入ってくれた学生たちという足下をしっかり見る、そして知る、それが一番大事なように思います。何かもっともらしく書きましたが、これって単なるマーケティングの基本のような気もしないでもないですね……。

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