2016/11/05

近大マグロで考える、他とは違う!? 近大の研究成果の伝え方(近大)


常に大学業界の話題の真ん中にいるといっても過言ではない近畿大学。この大学のすごいのは思い切った大学改革や広報活動というのもありますが、一般の人からしたらそれよりも近大マグロをはじめとした魅力的な商品の数々がまず頭に浮かぶのではないでしょうか。

そんな近大がつい先日、新たに近大マグロを使った商品を発表しました。この魅力的な新商品を見て、近大マグロには、他にはない商品展開の面白さがあり、それがなぜ起こるのかが少しわかった気がしました。

以下、朝日新聞デジタルより。

「近大マグロ」のダシ決め手 人気店も協力のうどん誕生 
エースコックは「近畿大学水産研究所×つるとんたん監修 魚だしカレーうどん」を7日に全国のコンビニで売り出す。カップ麺「スーパーカップ」のシリーズで、近大や人気うどん店つるとんたんと協力してつくった。完全養殖した「近大マグロ」の中骨のダシに、つるとんたん監修の麺とスープを合わせた。121g入りで、希望小売価格は税込み238円。

この商品、実は今回で第三弾となり、2014年より、毎年、今ぐらいの時期に数量限定で発売されています。とはいえ、第一弾と第二弾は塩ラーメンで、今回はカレーうどん。しかも、関西の人気うどん店、つるとんたんとのコラボになるので、第三弾とはいえ、かなり多くのメディアに取り上げられているようです。うん、絶対美味しいですよね、これ。

エースコックが毎年のように近大マグロとコラボするのは、話題性であったり、味の良さであったりするのだと思います。でも、そもそもを辿ると、近大マグロは美味しさを一番のウリにした商品ではないんですよね。このマグロのウリは、世界初の完全養殖に成功したことであり、マグロの養殖に新たな可能性を見いだしたことです。

味覚面では“全身トロ”と呼ばれるほど身に脂がのっているという特長がありますが、養殖(畜産)マグロは、近大マグロでなくても天然ものに比べるとかなりトロ部分が多いので決定的な魅力とまではいえません。

しかし、気がつけば「近大マグロ=美味しい」という方程式が社会にかなり浸透しているんですね。これってスゴいことです。そしてこれは近大が、クロマグロの完全養殖、ではなくて、この技術を使った近大マグロという“商品”を社会にアピールしたからこそ生まれた結果なのだと思います。

クロマグロの完全養殖には、味もないし、消費者が手に取れる形もありません。でも近大マグロになったことで、味が生まれ、イメージができ、付随する魅力が生まれていきました。今では、完全養殖の技術と直接的には関わらない魅力(知名度や味)がフックになって、企業とのコラボレーションが、しかも第三弾まで続くようなコラボが実現するまでになっているわけです。いや、これは本当にすごい。

もちろん、これは近大マグロに商品としての十分な魅力があったからこそできたことです。ですが、研究成果を、ただアピールするのではなく、商品化し、さらにはブランド化して伝えることで、いろんな可能性がでてくるんじゃないか。近大とエースコック(と、つるとんたん)とのコラボから、そんな可能性をびんびんと感じました。

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