100円朝食は、2010年代前半からはじまった、大学が学生に100円で朝食を提供する取り組みです。はじまった当初は画期的な取り組みとして話題になりましたが、今や多くの大学ですっかり定着したように思います。今回、見つけた花園大学の取り組みは、そんな100円朝食を、さらに使ってもらおうという一歩踏み込んだチャレンジです。これ、なかなか意義深いです。
以下、朝日新聞デジタルより。
朝食タダ、さらに100円券もらえる学食 花園大
月曜日の朝食は0円。しかも当日に学食で使える100円券がもらえる。花園大(京都市中京区)が今月から、先駆的な試みを始めた。健康と生活のリズムを保つため、朝食を抜かないで――。とくに一人暮らしの学生や大学院生に対し、そんな願いを込めた。(後略)
なんと月曜の朝食が無料どころか、当日に学食で使える100円分の金券ももらえるんですね。ここまでくると、学生サポートという枠を越え、なんとしてでも朝食を食べさせたい、という強い意志を感じさせます。私個人としては、この取り組み、すごくいいなと思いました。朝食には、ここまでする価値があると思うのです。
少し話が変わりますが、以前、大手予備校の仕事で、関西圏のトップ国立大学に進学した高校生を取材して回ったことがあります。そのときに強く感じたのは、彼ら彼女らにとって、勉強は特別なものではなく、生活の一部だということ。歯を磨くのと同じように、毎日やって当然だし、やらないと気持ちが悪いもの。私が受験生だったときを振り返ると、勉強はとても嫌なもので、目をつぶり鼻をつまんで、冷水に飛び込むような気持ちでやっていました。自分との感覚の違いに軽い衝撃を受けました。
彼ら彼女らのように勉強を生活の一部にするには、意識の変容も必要ですが、物理的に勉強をする時間を毎日つくらないといけません。この時間を維持するには、生活に余裕とリズムが不可欠なわけで、これらを生み出すのは結局のところ規則正しい睡眠と食事だと思うのです。
言うまでもなく、勉強を習慣化する必要があるのは、受験生だけではありません。受験生よりも専門的な勉強をする学生や院生にとっても、とても大事なことです。花園大は、このサイクルを生み出すうえで、出だしとなる、週はじめの朝食を無料にして、何としてでも食べてもらおうとしています。
100円朝食は、親元から離れた学生の生活サポートという文脈で、よく実施の意図が説明されます。でも、生活習慣の改善からの勉強習慣の獲得という目的を掲げた方が、この取り組みの意義をより高められるのかなと、私は思います。でもまぁ、あまりこういうことを言い過ぎると、学生は嫌がるのかもしれませんね。とはいえ100円朝食のゴールは、勉強習慣の獲得、表に出さないまでも、実施側にそんな意識があると、伝え方ややり方に、新たな工夫が付け加えられるかもしれません。
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