2017/01/09

探して取り上げよう、大学の生き証人(近大)


大学の営みを支える人として、まず頭に浮かぶのは、学生や教職員、それに卒業生らへんでしょうか。でも、よくよく考えると、大学はもっといろんな人に支えられているんですね。近畿大学のほっこりとした記事を見つけて、それをしみじみ感じました。

以下、朝日新聞デジタルより。

近大生の髪切り続けた理容師の「おばちゃん」引退 
63年にわたり近畿大学(東大阪市)の理容室に勤めてきた店主の沢村良子さん(89)が12月、退職した。子育てや病気と向き合いながらはさみを握り続けた。退職に伴い理容室も閉店。最後の日、「ずっと楽しく仕事ができました」と感謝の気持ちを語った。(後略)

よくもまぁ、こういう人を見つけてきて記事にしたなぁと、記者の視点にまず感心したのですが、でも、ほんとあたたかでいい記事です。

近大だけでなく、大学のなかには何十年も同じ場所にキャンパスがあるところがたくさんあります。これら大学にも、今回の理容師の「おばちゃん」みたいな人がたくさんいるように思います。

大学の広報媒体をつくっている立場からすると、こういう人がパンフレットなどに登場してくれると面白そうだなぁと思います。というのも、広報媒体で取り上げるのは、学生であったり、教員であったり、ほとんどすべて“中の人”です。もちろん、これはこれでいいのですが、複数の大学のものを見比べていくと、どれもやっぱり絵面も内容も似て見えてくるし、大学の“今”という一点でしか語れないんですね。

でも、今回の「おばちゃん」のような大学の歴史の生き証人的な人って、大学の今も昔も知っていて、なおかつ外の視点から語ることができる(しかもあたたかく見守るような視点で)。大学の広報物でよく登場する人たちとは、まったく視点が異なるので、かなりインパクトがあるように思います。

それに、大学の雰囲気や個性、DNAというのは、大学だけでつくられるわけではなく、大学のあるまちと一緒につくられていくものです。そういう意味では、まちもまた大学の一部なのです。

今回の「おばちゃん」のような人の声が、大学のオフィシャルなものに載っていくと、ささいなことかもしれないけれど、大学というものの枠がひとまわり大きくなるというか、大学のあり方・とらえ方を変える小さなきっかけになるように思います。これからの大学を考えると、地域と大学はもっと緊密になるべきです。だからぜひ「おばちゃん」「おっちゃん」には、いろんな広報物に出てきて欲しい。ちょっと大変かもですが、ぜひ探しましょう!

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