大学発コンテストが大切にすべきこと(関東学院大)
大学主催のコンテストでまず思い浮かぶのは、高校生に自分たちの大学や大学の教育分野に興味を持ってもらうために開催するエッセーや英語プレゼンテーションなどのコンテスト。そして次に思いつくのが、自分たちの大学の学生を対象にした教育の一環として行われるコンテストです。
今回、見つけた関東学院大学のコンテストは、これら大学発コンテストの王道に含まれるものの、少し違う点があって面白そうでしたのでご紹介します。
以下、大学プレスセンターより。
関東学院大学(本部:横浜市金沢区 学長:規矩大義)は、9月26日(金)に横浜・金沢八景キャンパス前を流れる侍従川で「第38回エコ・コンクリートカヌーコンペ」を開催する。
関東学院大学では、専門性を生かしたうえで、ものづくりの楽しさ、難しさを体験すべく、1976年から「コンクリートカヌーコンペ」(後にエコ・コンクリートカヌーコンペに改称)を開催しており、今年で38回目を迎える。参加チームは8月初旬から9月初旬にかけて、廃材のダンボールで型枠、骨組みを作り、モルタルを塗り、パドルまで手作りで仕上げていく。学生以外でも参加可能。カヌー作りの工程を一から体験することができる。
(後略)
まず、このコンテスト名にある「コンクリートカヌー」という、どことなくシュールな言葉に興味を覚えた人も多いように思います。これは、まぁ、そのままなのですが、コンクリートでできたカヌーになり、調べてみると世界各国の土木系や建築系の高校や大学でこれをつくって競い合う大会が開催されているようです。
かなりユニークな大会なのですが、でも、“少し違う点”と書いたのは、ここを指してではありません。従来、大学が主催するコンテストというと、受験生や自分たちの大学の学生たちを対象にしたものがほとんどです。でも、今回のコンテストは神奈川県を中心に、建築系学科のある大学や工業高等学校、専門学校に参加を呼びかけています。これってありそうで、けっこうめずらしいことだと思うんです。
人と協力することや、異なる価値観がぶつかり合うことは、勉強をエキサイティングにするうえで、とても重要な要素です。もちろん、これは一つの大学のなかだけでもできることではあるのですが、多くの大学や学校が関わることで、その効果はさらに増していきます。
一方で、コンテストを自分たちの大学独自の教育プログラムだと捉えるなら、学外、とくに競合となる同系統の学部学科を持ち、同じ県内にある大学の学生たちも参加できるのは、大学広報という意味ではかなりのマイナスです。
でも、やはり大学の本質は教育(と研究)です。肉を切らせて骨を断つというのか、より実りある教育をするために、他大学を巻き込むのは正しい判断のように感じます。それに視点を変えれば、魅力的な教育を実践するために、他大学を利用していると捉えることもできるかもしれません。
なんにせよ、今回のように大学間の壁を越えたものは、大学広報よりも教育的価値を重んじているように見え、そこに好感を覚えるし、大学としての信頼を感じる。ちょっとホメ過ぎかもしれませんが、今後、このような取り組みが増えればいいなぁと思いました。
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