受験生をコアターゲットにした大学の広報、いわゆる入試広報では、受験生に振り向いてもらうために、大学たちはあの手この手でしのぎを削っています。
ひと昔前までは、これら広報に力を入れるのは私立大学だけだったのですが、今では国公立でも積極的に取り組んでおり、もちろんそれは東京大学だって例外ではないようです。
以下、リセマムより。
東大、高校生向けプロモーションビデオのダイジェスト版をWeb公開
東京大学は1月21日、高校生向けのプロモーションビデオ「素顔の東大生」のダイジェスト版をホームページに公開。現役東大生がリアルな学生生活などを紹介し、受験生に東大の魅力を紹介している。 (後略)
素顔の東大生(高校生向けプロモーションビデオ ダイジェスト版)
プロモーションビデオのダイジェスト版を見た感想は、よくできてはいるけれど、飛び抜けて何か特徴的な工夫があるわけでもなく。まぁ、可もなく不可もなく、大学がつくるよくあるプロモーションビデオという印象でした。
でも、重要なのは映像のクオリティではなく、“あの”東大がつくったという事実です。従来の入試広報は、受験生獲得のためのプロモーションのため、東大には必要ないんですね。というか、東大まで必死になる状況なら日本の大学は軒並みつぶれてしまっているでしょう。
しかし、言わずもがなですが、定員割れを起こしている私立大学は少なくないものの、日本の大学業界はちゃんと存在しています。
ではなぜ、東大が受験生向け広報を行うのか。ここから先は、勝手な推測ではあるのですが、東大とはどんな大学なのかを偏見なく高校生たちに知ってもらうためではないかと思うのです。
東大というと、頭がいいとか、天才というイメージ(事実?)が強過ぎるため、“普通の大学生とは違う大学生”だと思われがちです。でも実際は、クラブに熱中する人もいれば、将来について迷っている人もいる、きっと恋愛の悩みを抱えている子だっているはずです。そう、どこにでもいる普通の大学生なわけです。
今回のプロモーションビデオは、そんなありのままの東大生を伝えようとしたんじゃないかと思います。そう最近、話題のありのーままのーというやつです。
記事の前半で、入試広報は受験生獲得のための広報だと書きました。でも、そもそもに立ち戻ると、本当はそうではないのかもしれません。自分たちがどんな大学なのか、それを受験生たちに素直に伝えることこそが入試広報の本来の目的なのかもしれません。
そしてそれをせずに、実像以上に“ゲタ”をはかせた広報をすると、受験生にとって不幸なのはもちろん、大学にとっても退学者が増えたり、無気力学生が増えたりする要因になり、お互いにとって良い結果を生みません。
日々いろいろな大学の入試広報に携わっている私にとって、東大のプロモーションビデオは考えさせられる良いきっかけになりました。でもまぁ、私の推測が当たっているかどうかはわからないんですけどね。
0 件のコメント:
コメントを投稿