2015/12/19

MOOCを発展させる次の一手を考える


2012年にアメリカで生まれ、日本でもJMOOCの発足により急速に認知度をあげてきた“MOOC”。オンライン大学公開講座とでも言うべきこの取り組みが、現在、世間の人たちにどのように受け止められているのか。これを調査したレポートがNTTコム リサーチのサイトに公開されているのでご紹介します。けっこういい感じですよ。




この調査によると、MOOCの取り組みを非常に良いと思う、良いと思うと答えた人の割合が全体の87.9%。MOOCについて詳しく知っている、知っている、名前を聞いたことがあると答えた人の割合が、1年前のおよそ1.6倍にあたる34%。他にもいろいろと調査結果が載っていますが、どれも順調に伸びており、この取り組みが社会に好意的に受け止められていることがよくわかります。

MOOCが社会に受け入れられてきた今、次のステップとしてめざすべきは、大学がより質の高いコンテンツをつくり続け、切磋琢磨できる環境づくりだと思います。そして、これを実現するためには、大学がコンテンツをつくるメリットをもっと感じられるようにしていくことが大事なのではないでしょうか。

たとえば、以前、本ブログの記事「MOOCの新たな可能性、自校紹介講座による大学PR」で取り上げたように、つくったコンテンツを大学広報に役立たせるのも一つの手です。また、行政や自治体、企業から一部援助を受けて、まちおこしや社内研修に活用できるコンテンツをつくるのもいいかもしれません。

それに、MOOCのコンテンツには有料で反転学習(対面学習)を行うものがあり、この考え方を発展させ、基本は無料としつつ、より深い内容を学べる有料のアドバンスコースをつくるというのも手です。

というのも、MOOCのコンテンツの多くは、受講者が取り上げるテーマについて知識がないことを前提につくられており、内容が基礎的なものになりがちです。こういったコンテンツに物足りなさを感じる人はたぶんいるわけで、内容を深化・発展させ、人数制限を設けたり、一部の授業を反転学習したりすることで、密度の濃い学びを提供すると、けっこうウケるんじゃないかと思うんです。

また、このような有料コンテンツだと、ウェブ上での意見交換も積極的に行われるだろうし、自主勉強のコミュニティなんかもつくられやすそう。MOOCを活用した学び方のお手本”として、MOOC全体に影響を与える可能性だってあるように思います。

コンテンツ産業の神様(?)ウォルト・ディズニーは、「現状維持では、後退するばかりである」という言葉を世に残しています。あらゆる分野に当てはまる言葉ではありますが、日々新しいものが生まれてくるコンテンツ産業では、とくに肝に銘じておくべき金言です。

MOOCも強引に当てはめるなら、少し特殊ではあるもののコンテンツ産業に含まれます。だからこそ、現状に満足せず、どん欲に、前のめりに、変わることを恐れずに発展していって欲しい。意義のある取り組みですので、心から応援したいです。

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