2016/03/21

北陸新幹線開通が受験生に与えたもの(富山大)


オープンキャンパスや入試の時期に電車に乗ると、アチコチに大学のポスターが貼られています。やっぱり大学のある沿線ぞいに告知を打つのが、かなり効果が高いからなんでしょう。そして、この沿線ぞいというのは、当然のこととして在来線のみを指すと思っていたのですが、どうやら違うのかもしれません。富山大学のPR活動からそんなことを感じました。

以下、朝日新聞デジタルより。


富山大入試に新幹線効果 東京・埼玉の志願者急増 
北陸新幹線の開業後初めて迎えた今年の富山大の入試で、新幹線沿線の東京、埼玉、長野の各都県からの志願者が急増した。富山大は、新幹線開業をきっかけに沿線エリアから受験生を集めようとPR活動を強化していたが、さっそく成果が表れた。(後略)

昨年、話題になった北陸新幹線の開通の影響が、こんなところにも出ているんですね。しかも記事によると、富山大の志願者率のアップは沿線の各都県で30~50%アップとあり、かなりのものです。

ではなぜ、これほどまでにアップしたのでしょう。新幹線定期で通学する人もなかにはいるでしょうが、恐らくごくごく少数なはず。これら沿線ぞいから進学する多くの人は、新幹線があってもなくても一人暮らしをするはずです。また、受験自体がしやすくなったというのも考えられますが、富山大は前期入試については名古屋と埼玉に試験場を設けていることもあり、新幹線によってものすごく便利になった!とまではいかないのではないでしょうか。

こういうことを考えていくと、結局のところ受験時や進学時にメリットがあるからというより、新幹線によって実家に帰りやすくなったことで、受験生や保護者が何となく安心できるという心理的な面が大きいように思います。

そして、もし心理的な面が大きいのであれば、月一で一人暮らしをする学生が実家に帰れるよう大学から長距離バスを出すとか、親が一人暮らしをする子どもに気軽に会いに行けるよう保護者用の宿を大学が用意するとか、そういった取り組みをすれば新幹線開通と似た効果が(ある程度は)期待できるのかもしれません。

さらにいうと新幹線の場合、遠方の受験生が出願してくれるようになるものの、近隣の受験生が逃げてしまうという諸刃の剣的な側面があります。実際に富山大も近隣エリアからの出願率は大きく下がったようです。

しかし、大学独自の工夫で、受験生の実家と大学との距離を物理的ないし心理的に縮めることができれば、近隣から受験生が流出することなく出願率アップを見込めるわけです。ただこういった取り組みを大学単体でやると手間も費用もバカになりません。同じエリアにある複数大学で手を組んだり、行政を巻き込んでやるのがいいのかもしれませんね。

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