2018/11/03

近大のエンタメ満載の新聞広告の裏に見えるもの(近畿大)


広告のクリエイティブという面では、近畿大学は大学業界のなかで頭ひとつ抜けているといっていい状況にあります。そんな近大が、どぎつい新聞広告をカラー・全15段でやりました。この広告は、初見のインパクトもすごいのですが、なかなか考えさせるところがあります。

実物を撮影したので、まずは見てみてください。




はい。USJに、がっつりかぶせてきた広告になります。広告内容を解説するのは野暮なのですが、いちおう解説しておくと、ユニバ=ユニバーサルスタジオジャパンではなく、ユニバーシティであり、大阪のユニバーシティといえば近大でしょ!というメッセージになります。

USJの華やかな印象と、近大のパワフルなイメージには通じるところがあるし、USJの広告っぽくコラージュした紙面には、近大要素がふんだんに盛り込まれており、見ていて面白い。広告として、純粋にクオリティが高いです。

でもこの広告を見て面白いと思ったのは、実はそれだけじゃありません。80年代の高度経済成長期、大学はテーマパーク化してきたと一部の知識人から批判を受けていました。その大きな要因が大学のマスプロ教育であり、全国有数のマンモス大学である近大は、よく槍玉に挙がっていた大学の一つです。そんな近大が、自らをテーマパークであると宣言したようにも受け止められる広告を出稿したというのが、けっこう衝撃的だなぁと思ったのです。

とはいえ、本当に近畿大学がテーマパーク(遊ぶための場所)と勘違いされる可能性が一ミリでもあるのなら、こういう広告は出しません。近大が自分たちの教育内容に絶対の自信があるうえ、それが社会に浸透しているという自負があるからこそ、こういう表現をしてきたのでしょう。もし80年代の近大が同じような広告を出稿していたら、ものすごい批判が巻き起こっていたはずです。

インパクトを生み出す手法の一つにギャップを見せるというものがあります。たとえば、動物なのに人間みたいな仕草をするとか、おしとやかな女性なのに喧嘩がめっぽう強いとか。この広告もその方程式のなかにあって、しっかりと勉強できる近畿大学が、真逆であるテーマパークだと謳うことに面白さがあります。今の近大は、これが成立する大学になっているわけです。

近畿大学のブランド価値がぐいぐいと上がっているのは、大学関係者じゃなくても、すでに周知の事実です。この広告からは、その成長がなんとなく透けて見えます。人の変化もそうですが、長期的な視野に立ってふと振り返ると、感慨とともに実感することがあります。80年代の近大を、私はあまりよく知らないのですが、人によってはこの新聞広告を見て、近大の変化を強く感じる人がいるのかもしれないなと思いました。いやはや、大学は大きく変わっていくものです。

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