2016/05/14

大学広報のノウハウの使いどころは一つじゃない


これまでに大学と雑誌のコラボについて、しつこいくらい取り上げてきました(コレとかコレが、今回、紹介するのは似ているようでまったく異なる取り組みです。そもそも大学の広報でもないのですが、学生と雑誌のコラボとしてこれはこれでかなりアリな感じがします。

以下、リセマムより。

「an」が東大・早大など12大学生とコラボ、新入生に無料配布 
インテリジェンスが運営するアルバイト求人情報サービス「an」は、関東・関西・東海地域の12大学の学生と連携して制作した「an」新入生マガジンを4月27日より対象大学周辺で順次配布している。学生目線で新入生のキャンパスライフをサポートする新生活に役立つ一冊だ。(後略)


今回、学生たちとコラボをした「アン」は言わずと知れた、メジャーなアルバイト求人情報誌(と求人サイト)。高校時代にアルバイトをしていた人でも受験期間中は辞めていた人が多いでしょうし、そもそもアルバイトが禁止されている高校も多いはず。そういう意味では、大学1年生は「アン」にとって絶好のターゲットになります。

とくに今回コラボした上位大学の学生が通っていたであろう高校は進学校が多いはずで、こういった高校の場合、アルバイトが禁止されていた確率もかなり高い。アルバイトをしたくてもやり方がわからないという、「アン」がエスコートしたい、というかもうするっきゃない、アルバイトビギナーが今回のコラボ先にはうじゃうじゃいるわけです。

興味深いのは、これら新入生へのアプローチの仕方です。今回は各大学の学生たちと「an」の特別号をつくり、なおかつ派生コンテンツをウェブで展開しています。

私は仕事で大学の広報ツールをたくさんつくるのですが、そこでは“いかにして学生を効果的に登場させるか”というのが一つのポイントになります。学生は高校生と年齢が近いため語る言葉に共感されやすいし、先輩の顔や人柄がわかることで安心感と親近感が湧くからです。そのため、学生がたくさん登場するツールや、登場する人数は少ないものの学生を深堀するツール、さらには今回の「an」のように学生と一緒につくるなんてことも度々行っています。

特別号自体は残念ながら手に入れておらず内容まではわかりません。でも、派生サイト「大学てくてくMAPにある大学近隣のスポット紹介や学生へのQ&Aというのは、大学のサブツールの鉄板ネタです。新入生と受験生はいわばニアリーイコールな存在なわけで、大学の広報とアプローチ方法がだいぶ似通っているんですね。


各大学の周辺情報などを紹介する「大学てくてくMAP」


私を含め大学広報を主戦場とする広告代理店や制作会社は、常日頃から受験生を振り向かせるためにはどうしたらいいかを考え、そこに特化したプランニングやクリエイティブをやっています。ここで身に付けたノウハウや考え方って、実は受験生だけじゃなく新入生にも十分通用するんじゃないか。今回の「an」の取り組みをみて、それを感じました。

そして、大学進学はライフスタイルが大きく変わるタイミングです。アルバイトはもちろん、ファッションも変われば、読む本だって変わります。それに一人暮らしをする人もいるわけで、引っ越しや家電なんかの分野もアプローチのしどきです。

大学広報で得たノウハウは、新入生の心をつかむのに使える。そう考えると、これまでどちらかというとニッチで潰しがききにくいと思っていた大学広報の技能が、かなり魅力的なもののような気がしてきました。とりあえず、一度どこかに企画を出してみようかな…。

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