2016/05/07

地方の大学が変わると、日本が変わる


大学進学といえば、都心で一人暮らしをする大きなチャンス。私は地元である関西の大学に進学しましたが、首都圏の大学に進学することに少し憧れを感じていました。おそらく、似たような憧れを感じる高校生は今でも少なからずいるように思うのですが、どうやらその数は減少傾向にあるようです。

以下、朝日新聞デジタルより。

地方高校生に「東京離れ」 仕送り負担、地元志向強まる 
東京の有名大学で、合格者の「首都圏集中」が進んでいる背景には何があるのか。仕送りの負担増のほか、親や子どもの意識の変化もあるようだ。学生の多様性が大学の活性化につながるとみる大学側は、画一化を懸念する。(後略)

記事によると、「東京離れ」の原因に経済的な理由が大きく関わっていると説明されています。高校生たちが都会に興味を持っても家庭の事情で断念せざる得ないというのは少しかわいそうな気もします。

でも、考えようによっては、今やかつてないほどの地方の時代です。地方創生という言葉が新聞やテレビで頻繁に取り上げられるようになり、Uターン就職を希望する学生も増えてきていると聞きます。こういったことを考えると、地元の学生がそのまま地元で学び、地元のために働くというのも、今の時代らしいというか、そう悪くないようにも思えます。

しかし記事では、同じ地域の学生ばかりが集まると、学生の価値観が似通り、結果、学びの場が活性化しないのではないかという懸念が書かれていました。これは十分にあり得ることだと思うのですが、「東京離れ」の理由に経済面が大きく関わっているなら、日本が上向きにならない限り、本質的な部分は解決しないのではないでしょうか。

さらにいうと、記事にあるような地方向けの奨学金や入試の充実は、ネームバリューのある首都圏の大学だからできることです。それに、そもそも「東京離れ」があろうがなかろうが、地方の大学(とくに私立大)の学生は、地元ないし周辺エリア出身者がほとんど。考えようによっては、この記事って間接的に地方の私立大をディスっていると言えなくもありません。

何はともあれ、地方の大学に地元出身者が集まりがちなのは昔から続く事実だし、日本経済の先行きを考えると、この傾向はさらに強まるように思います。なら、たとえ地元出身者ばかりが集まったとしても大学の多様性が損なわれないように、地方の大学は変わらなければいけないのではないでしょうか。

たとえば、エリアの異なる地方の大学同士で、学生を国内交換留学させるとか。学生同士にこだわらず、社会との接点、世界との接点を積極的につくるとか。実際は多様性という観点で捉えていないだけで、やっている大学も多いように思います。でも、これからはさらに意識的にやっていく必要があるのかな、という気がします。

地方の大学に多様性が生まれ教育環境が活性化することで、地方から日本が盛り上がっていく。その様子が社会に広く認知されれば、「東京離れ」という言葉に込められたニュアンスも大きく変わっていくはずです。

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