大学が取り組む地域活性化というと、行政や地元企業と連携するものを頭に浮かべがちですが、実は大学同士で連携して行うものもあるようです。そして勝手に思うに、この大学間の連携には、行政や企業との連携にはない良さがあり、長い目で見ると今後もっと注力してやっていくべき連携のカタチになるのではないかと感じています。
以下、朝日新聞デジタルより。
育て学生のチャレンジ精神 サークル設立
四国大や徳島大など4大学と阿南工業高等専門学校が4日、学生が起業家と交流できるサークル「とくしまサイコー塾」を設立し、徳島市内のホテルでキックオフセミナーを開いた。自治体や企業と連携し、社長のかばん持ちや、ビジネスコンテストを実施してチャレンジ精神のある学生を育てるのがねらいだ。(後略)
記事は、徳島にある大学と短大、高専の学生たちがインカレサークルをつくり、徳島を盛り上げる人材を育てようというもの。所属する学校が違っていても、地域のために何かしたいという想いと、地域のもつ課題や魅力を共有していれば、力を合わせるのはそんなに難しいことではないように思います。
そして、取り組み内容もさることながら、学生たちがこういった体験をし、いろんな大学の仲間と共有できる思い出をつくること自体が、地域にとって大きな財産になるのではないかと感じました。
というのも、多感な学生時代を過ごした“母校”に対して強い帰属意識をもつ人はたくさんいるし、そういった卒業生が集まる交友会が大学の発展にひと役買っていることもよくあります。でも、母校に帰属意識があっても、母校のあった地域に帰属意識があるという話しはあまり聞きません。もちろん、ないことはないのでしょうが、やっぱり母校の前に地域はかすんでしまうのだと思います。
しかし、今回の活動のように、大学の看板を取っ払い、その地域で学ぶ一人の学生として地域活性化に取り組む場合、地域に対してより愛着を抱きやすいし、地域に帰属意識を持つ良いきっかけになるのではないでしょうか。そして、こういった活動に関わった学生がたくさん出てくると、自ずと卒業生のコミュニティもでき、ゆくゆくは“地域の交友会”のようなかたちで地域に関わり続けていく、ということもあるような気がします。
学生たちが地域に関われるのは卒業までの数年間です。でも、卒業後もつながりを維持できれば、その関わりに時間的な制約はなくなります。さらに卒業生は、社会の一員として働くし(おそらく)、一家をかまえたり、起業したりする可能性もあるわけで、地域との関わり方はより多様に、重層的になります。
今後、地域と大学との関係性をさらに一歩踏み込んだものにするために、卒業生をいかに取り込んでいくかは重要なテーマになるはずです。その解決策の一つとして、“地域の交友会”づくりに大学間の壁を越えて取り組んでみてはいかがでしょう。
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