大学のなかには、歴史的価値のある建物があるところも少なくありません。中には、国の重要文化財に指定される建物がある場合もあり、これら建物は大学の隠れた名所といっていいでしょう。そんな大学内にある隠れた名所を、ちょっと新しい視点で有効活用しようとする大学を見つけたのでご紹介します。
以下、朝日新聞デジタルより。
以下、朝日新聞デジタルより。
弘前大の構内に大正ロマンのカフェ開店
弘前大の構内に19日、大正ロマンの香りが漂うカフェがオープンした。国登録有形文化財「旧制弘前高校外国人教師館」を有効活用し、学生や教職員だけでなく市民や観光客も集う場にしたいと、大学が企画。市内で喫茶店を経営する弘前コーヒースクールが出店した。(後略)
私が運営に携わるウェブマガジン「ほとんど0円大学」でも、歴史的価値の建物をもつ大学が、これら建物を公開する取り組みについて、いくつか取り上げてきました。
● 学生ガイドとゆく140年の歴史。同志社大学今出川キャンパスツアー
● 公家のお屋敷学舎、平安女学院「有栖館」を訪ねて
● 幕末から平成までどんな時空も思いのまま。ロケ地の殿堂、龍谷大学大宮学舎
しかし、これら記事に登場する建物はどれもすべて素晴らしいものの、建物を公開することはあっても、建物を使って何かをしようという視点はあまり感じられませんでした。関西人の気質なのでしょうか、少しもったいないなぁ、と勝手に思っていたので、今回の弘前大の取り組みにとても興味が湧いたわけです。
ちなみに、歴史的な建物を広く一般向けに活用する良さですが、大きくは二つあるように思います。一つは記事にあるように、観光客に訪れてもらえるということ。大学の取り組みは、近隣地域の人を対象にしている場合が多く、観光客をターゲットにしたものはほとんどありません。しかし、歴史的な建物を間近で見れるうえ、美味しいスィーツも食べれるなど、特別な楽しみ方ができるとなると、普通ならまず大学に足を運ばない趣味趣向&場所に住んでいる人たちを呼び込むことも十分できるわけです。
さらにもう一つの良さは、一般の人にその大学の歴史や教育理念、建学の精神を知ってもらうきっかけを提供できることです。歴史的な建物は、当然、その大学の設立当時や、できて間もない頃からあるわけです。これら建物の歴史を振り返ることで、大学の歴史も自ずと感じることができます。さらに歴史をさかのぼり、なぜこの大学ができたのか、というところまで立ち戻ると、教育理念や建学の精神といったものまで見えてくるように……ちょっと、強引ですかね。
でもです。そうはいっても歴史的な建物を知ることで、その大学の歴史も感じられるというのはあるように思います。じわじわと知名度をあげるのに、これってけっこういい手のように感じるのですがいかがでしょうか。
ちなみに話題性を出すなら、やっぱり地元の有名店に出店してもらうとか、全国的に人気なチェーン店(スターバックスとか?)に出店してもらうのがいいんでしょうけど、こういのっていろいろ難しいんですかね。専門じゃないのでちょっとわからないです…。
あと、そもそも歴史的な建物がないよ!という場合ですが、この場合、図書館や博物館にある歴史的な収蔵品を学内のカフェに展示するというのでも、パンチは薄れるものの似た効果があるように思います。いろんな大学でお話を聞いていると、一般公開はしていないけど、歴史的価値のある資料を持っている大学がけっこう多くあります。こういった資料を寝かしておくのはすごくもったいないわけで、広く一般の人たちに大学の歴史(と教育理念などなど)を伝える手だてとして、説明パネルと一緒にカフェに並べてみてはいかがでしょう。
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