2016/06/04

近大の新学部広告のウラ側を想像すると、ジワジワすごい(近大)


昨年、赤井英和を起用した広告で話題になった近畿大学の新学部「国際学部」ですが、今年も引き続きパンチの効いた広告を出して話題になっているようです。

この広告、かなりインパクトがあるのですが、でもそれだけじゃなく、広告のコンセプトや作られた背景を想像してみると、なかなか奥深いような気がします。では一体どんな広告なのか、まずはビジュアルをご紹介しましょう。


はい、強烈です。私はこれを初めて見たとき、昔おじいちゃんと行った夏だけオープンする百貨店のお化け屋敷を思い出しました。

このおどろおどろしい広告が伝えたいのは“国際学部に入学したら徹底的に鍛え上げるから覚悟せえや”というメッセージです。今回の広告には教員たちが登場しているのですが、メッセージから考えると、昨年度に引き続き赤井英和が出ても違和感がないし、むしろそっちの方が話題になるんじゃないかとさえ思います。それに職員の立場からすると、タレントに依頼した方が、教員にお願いするのに比べて100倍ラクなはず。でも、あえて教員が登場しているところに、この広告の面白いところであり、すごいところがあります。

まず一つ目のすごいところは、これだけエッジの効いた広告に教員を出そうと思えること、そして実現してしまえるところです。ほとんどの大学の場合、教員にこんなふざけた案(いい意味でですよ!)を持って行くなんて、ありえない、と答えるはずです。

気心の知れた教員であれば、多少、無茶なことでもやってくれるかもしれません。しかしそれであっても、ここまでの顔芸を要求する、しかも若手教員だけでなく学部長にまで、というのは、職員なら想像するだけで胸がヒュンとする行為です。これをやってのけてしまうのが、今の近大の勢いであり、事務方の強さなのかな、と思います。

さらに、教員たちがノリノリで演技をしているところがすごい。当然ですが、教員たちって演技は素人です。そんな教員たちが、これだけ振り切ってやれるのは、これが必要(もしくは効果的)だという確信があるからに違いありません。これって言い換えるなら、自分たちの学部がどんな学部で、高校生に何を伝えたいかを教職員でしっかりと共有でき、納得できているからなのだと思います。

そして、教員たちがやるべきこと(教育)だけをやるというスタンスなら、こんな広告は絶対にできません。学部に対して強い想いがあり、意気込みがあるからこそできた広告です。わたし個人としては、教員たちの想いが暗に伝わってくるところにこそ、この広告の一番の魅力があるのだと感じます。「丁寧で徹底的な指導を〜」なんてパンフレットに書くより、こっちの方がよっぽど伝わるものがあります。

大学の先生たちが、ここまでやる、ここまでさせる。教員側と職員側がしっかりとかみ合っているうえでの突飛な表現だからこそ、説得力があり高校生たちに響くんでしょうね。ここらへん、ほんと近大はうまいし、すごいです。

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