2017/03/11

見た目は簡単に、そして楽しく。これからの地域向けイベント(東大)


公開講座やサイエンスカフェなど、大学の知を社会に発信する取り組みはたくさんあります。これら取り組みはアカデミックではあるけれど、地味なものが多く、一般の人の目になかなかとまらないという課題があるように思います。そんななか東京大学が最近開催したイベントは、ちょっと奇抜で、普段大学に関心がない人でもつい引き寄せられてしまいそうなインパクトがありました。

以下、リセマムより。

東大 さいえんす寿司BARで考えた「今、空と海で起こっていること」 
東京大学大気海洋研究所は2月19日、東京大学柏の葉キャンパス駅前サテライトで「第5回さいえんす寿司BAR」を開催した。「今、空と海で起こっていること」をテーマに、子どもから大人まで限定50名が参加した。(後略)

寿司と東大というギャップ。さらに記事を読みすすむと、寿司をにぎってくれた大将の店が東大の柏キャンパス内にあるという意外なサプライズも。このイベント、タイトル、内容ともにかなり個性的です。

大学の地域向けイベントは、まずそのタイトルからしてコムズカしいものが多く、一般の人に避けられがちです。しかし、今回の東大のものはすごく引きがあっていい感じです。また企業主催のものであれば、著名人が登壇することがよくあり、登壇者にひかれて多くの人が訪れます。ですが、大学のものは学内外の学者が登壇する場合がほとんどのため、登壇者の名前で人を呼びにくい傾向があります。今回のように人の名前に頼らない企画というのは、かなり大学向けなのかな、という気がしました。

ちなみに、こういったユニークな大学関連のイベントは近年じょじょに増えているような気がします。たとえば「ほとゼロ」で取材したものだと、研究者と来場者がちゃぶ台を囲む京大の「アカデミックデイ」や、お酒を飲みながら学者の話を聴くナレッジキャピタルの「超学校シリーズ」。また、残念ながら終了してしまったのですが、料理教室と公開講座がくっついた阪大の「アカデミクッキング」なんてのも斬新でした。

挙げた例が関西圏ばかりで恐縮なのですが、これら記事をのぞいてもらうと、公開講座にひと手間加えるとこんなに面白くなるんだ! と驚きを感じてもらえるはずです。

社会に広く大学の取り組みや成果を伝えるためには、まずは興味を持ってもらうことが大前提です。そうなると、何を伝えるかはもちろん大事ですが、どうやって伝えるかが同じか、それ以上に大事になっていきます。

そうなったとき、知を伝えるという上からの目線ではなく、みんなが一緒になって、知ること、学ぶことを楽しめる、もしくは楽しんでもらう、そんなフラットないし斜め下ぐらいのスタンスからの企画づくりが必要になっていきます。簡単なことではありませんが、こういう企画をつくるのって、とてもやりがいがあることだと思うのです。わたしも今は取材させてもらう立場ですが、どこかで取材した経験なんかを活かして、企画づくりそのものに関わりたいものです。

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