2017/03/26

卒業生にひびくのは、今の大学より、当時の自分!?(明治大)


いやはや卒業式シーズンです。今年も私が住む関西エリアでは、3月19日に関西学院大学の卒業生に向けた新聞広告が掲載されていました。以前、これをテーマにした記事を書いたことがあるのですが、新卒業生はもちろん、多くの卒業生にとってこの広告は愛校心をくすぐるもののような気がします。

この広告だけでなく、卒業生に向けてのアピールというのは、近年どの大学でも重要視するテーマです。今回、見つけた明治大学の取り組みも、卒業生のみを対象にしたものではないのでしょうが、卒業生にとってはかなり愛好心を刺激しそうな取り組みです。

以下、大学プレスセンターより。


3月25日(土)始発から -- 京王線明大前駅の列車接近メロディーが明治大学校歌に! ~京王沿線で校歌の導入は初!~ 
明治大学(理事長:柳谷 孝)では、京王電鉄株式会社(本社:東京都多摩市、社長:紅村 康)と明大前商店街振興組合、世田谷区と共同で、3月25日(土)始発から京王線明大前駅の列車接近メロディーに明治大学の校歌を導入する。(後略)


電車のメロディーを使ったピーアールというと、すぐさま恵比寿駅の電車の発車音、ツゥルルゥーツゥルルルル〜♪ というエビスビールのメロディーが頭に浮かびました。今回の明治大の取り組みも、これと同じなわけだから、けっこう頭に残るような気がします。

それに普段から明大前駅を使う人にはもちろんですが、ひさしぶりにこの駅に降りたり、経由したりする卒業生にとって、かなり引きつけるものがあるように思います。というのも、駅の風景は学生時代に見慣れたなつかしい風景なわけで、そこに大学の校歌が流れるというのは、かなりノスタルジックな演出だからです。

卒業生の多くは、能動的に母校の情報を手に入れようと動いたりしないし、広報誌などを送ったとしてもちゃんと目を通すのはひと握りです。それは毎日が忙しいし、興味があるのは自分が通っていた“当時”の母校であって“今”の母校ではない、そんな人が多いからのように思います。

ならいっそのこと、情報を伝えるのではなく、各人が胸にしまっている母校を思い出すトリガーになる演出を提供する、そんな広報があってもいいのではないでしょうか。事実、今回の明大前駅のメロディーや関西学院大の新聞広告は、まさにそういった類いの広報なように思います。

繰り返しになりますが、母校のがんばっている姿、発展している様子というのは、一部の卒業生にはひびくのでしょうが、それは愛校心がある人たちだからです。それよりも関心が低い人に振り向いてもらうには、母校ではなく、母校に通っていた思い出を刺激することが有効になります。もし卒業生とのつながりづくりに攻めあぐねているなら、一歩引いたロマンチックでノスタルジックな広報(演出)に挑戦してみてはいかがでしょうか。

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