2018/06/30

必要なのは内容より物語!? 新たな視点で広報ネタの棚おろしを(北海学園大)


社会向けの大学広報での一番の難しさは、そもそも一般の人はそこまで大学に興味がない、というまさにそもそも的なところにあるように思います。これを打破するにはどうしたらいいのか、そう簡単なことではないのですが、少しヒントになりそうな記事を見つけたのでご紹介します。

以下、朝日新聞デジタルより。

目指すは「北の早慶戦」だが…北海学園63連敗 
「北の早慶戦」を目指して、北海学園大(札幌市豊平区)が東北学院大(仙台市青葉区)と始めた運動部の総合定期戦。大学草創期に学生の発案がきっかけだったといい、64回目となる今年も22日から24日まで仙台市で開かれる。だが、戦績はこれまで北海学園が63連敗と振るわない。「今年こそ歴史を変える」と学生らの士気もあがる。(後略)

記事の内容は、北海学園大学と東北学院大学による運動部の総合定期戦についてです。関西在住の私にとっては、両大学とも馴染みの薄い大学です。さらにいうと、取り上げているトピックも運動部の総合定期戦であり、画期的な研究や斬新な大学改革といったような社会的にインパクトのあるものでもありません。それでも、つい本ブログで取り上げたくなったのは、この短い記事からでもビンビンと感じられる人間ドラマがあったからです。

思うに、大学という場所は、本当にさまざまな世代、国籍、専門性のある人たちがいて、そのうちの多くはビジネスではなく、自分がやりたいことのために通っています。そんな濃くて自由な空間が何十年も、ときには百年以上も存続しているわけです。面白い物語が生まれるには十分な環境が整っています。

この環境をうまく生かし、内容ではなく物語性に注目して情報を収集し、そのストーリーと絡めて伝えたいことを伝えるというのは、けっこうありなのではないか。今回の記事を読んで感じました。

大学広報界ナンバーワン(?)の広告塔である近大マグロも、開発秘話を書籍化(しかも1冊ではなく!)しています。近大マグロと同レベルの発明というのは、実際のところ他にもあります。でもその中で、近大マグロが抜きんでた知名度を誇っているのは、そこに30年以上かけた濃厚な開発物語があったから、というのは間違いなくあると思います。

自分たちの大学は、社会に発信できるどんなストーリーを持っているのか、それはつまり何を伝えるのに有効なのか。大学広報を考えるうえで、あまり持ち得ない視点ではありますが、一度、こういう視点でアピールポイントを棚おろししてみるのはいかがでしょう。研究のインパクトでは勝てなくても、物語の重厚さなら近大マグロに勝てる…そんな魅力的なトピックが眠っているかもしれませんよ!?

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