2018/08/26

昨日の敵は今日の友!? 学生募集で大学間の協力はありえるのか?


今後18歳人口が減り続けていくことを受け、大学ではあの手この手で対策をしようという動きが活発化しています。今回、見つけた「ちば産学官連携プラットフォーム設立」も、まさにこういった動きの一つでしょう。規模感のある取り組みなので、今後の大学業界の行方を占ううえでも無視できないもののように思います。

以下、リセマムより。


ちば産学官連携プラットフォーム設立、淑徳大学など11校が結集 
千葉県内の千葉市や市原市にある11の私立大学、短期大学が結集した「ちば産学官連携プラットフォーム」が2018年8月9日に設立された。参加大学・短大は、淑徳大学・敬愛大学・植草学園大学・千葉経済大学など。(後略)


淑徳大学の学長がこの取り組みの会長を務めるようなので、淑徳大学のホームページを見たところ、詳細が載った記事があがっていました。これによると、ちば産学官連携プラットフォームには「学生募集」「教育活動」「就職支援」「生涯学習」「地域支援」の5つの事業部会が設置されるようです。県内の大学が連携すると教育の効率化ができるだろうし、それぞれの強みをうまく活かすと、教育内容も充実していくように思います。また、就職支援や生涯学習、地域支援についても、連携することで強化されるのはイメージできます。でも、一番力を入れようとしている学生募集。これについては、本当に連携なんてできるのでしょうか。

もちろん、千葉県の大学間の連携が強まることで、エリアとしての魅力が高まり、地元志向の高校生が増えたり、他のエリアからの流入が増えたりすることはあるかもしれません。でも、これを推進するのは、学生募集ではなく、教育活動や就職支援の事業部会です。

学生募集というのは、とても生々しく、高校生を自分たちの大学に振り向かせ、獲りにいく業務になります。具体的な数字が出るし、大学経営に直結することなので、どの大学も死にものぐるいです。11もの大学が結集していると、当然、競合する学部学科もけっこうあるわけです。真剣レースの最中にランナーたちが手を取り合うなんて芸当はできるものなのでしょうか。疑問もあるし、すごく興味が湧きます。

持論ですが、学生募集で大学同士が力を合わせるなら、まずやるべきことは、自校の学部学科が何に重きを置いているのか、特徴を明確化することだと思います。広く高校生を受け入れたいがため、あれもできる、これもできると謳い、結果、特徴が見えなくなるというのは、大学広報のあるあるです。そうではなくて、うちはこれに力を入れているというものを、厳選してしっかりと掲げる。これを連携する全部の大学でやり、かつ詳細まで共有しあう。これができれば高校生の志望動機を深掘りし、連携している大学のなかで最もふさわしい大学・学部学科を紹介するという、大学の枠を越えた進路相談ができるようになります。

しかし、自分たちの大学でも対応できるけど、よりその分野に強い大学があるからそっちにふるというのは、入試担当者ならまずやりたがらないでしょう。場合によっては他大学に塩を送って、自校が困窮するということにもなりかねません。では、どのように学生募集を連携するのがいいか。今のところ、いい手立てがすぐに思いつきません。

今回の取り組みと同じような複数大学による大規模な連携が、今後も増えていく可能性があります。そのとき、学生募集は避けては通れないテーマです。この先駆的な取り組みとして、「ば産学官連携プラットフォーム」がどのような活動をするのか、注意深く見ていきたいと思います。

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