2018/11/23

とてつもなく濃ゆい、京大生“らしさ”のつくり方(京都大)


大学祭のシーズンもそろそろ終盤戦。今年も「ほとんど0円大学」で、いくつか取材をして回り、学生たちのエネルギーをしみじみと感じました。そんな大学祭のなかで、異色な取り上げられ方をしているのが、京都大学の11月祭です。例年のように取り上げられる11月祭ですが、今年もやっぱり取り上げられていました。

以下、朝日新聞デジタルより。

京大の学園祭テーマは「(当局により撤去されました)」 
京都大学の学園祭「11月祭」が、22日から京都市左京区の吉田キャンパスで始まる。「Novenber Festival」を略してNFと呼ばれる11月祭。60回目の今年は「(NFテーマは当局により撤去されました)」という挑戦的なテーマが選ばれた。(後略)

冒頭に、異色、と書かせてもらったのは、この大学祭で毎回注目されるのは、プログラムではなくて、個性的な統一テーマなんですね。今年は、学生と大学(+京都市)が対立した立て看板の撤去を揶揄した「(NFテーマは当局により撤去されました)」。ひねりがあり、皮肉も効いていて、なんとも11月祭らしい(京大生らしい)感じがします。

思えば、大学祭のテーマが、マスコミで取り上げられたり、SNSで話題になったりするのって、おそらく京大だけじゃないでしょうか。テーマといっても大喜利に近いものがあって、大学祭の内容が関わっているのかというと、そうでもないのですが。でも、そこも含めて、とても学生らしい力強さがあります。

京大は11月祭以外にも、クオリティの高い仮装で知られる卒業式であったり、入試シーズンにあらわれる折田先生像であったり、独自の学生文化があります。時には、この学生文化の濃さが悪い方に出てしまうときもあり、今年は「道路こたつ事件」なんていうものがありました。吉田寮のいざこざも、この京大生の気風と関わっているのかなぁという気もしないでもありません。

学生の個性が強い大学であり、そこに京大というブランドがあることで余計にニュース性が増してしまう。それでニュースになって、京大らしいネタや事件が全国を駆け巡ると、それにあこがれを抱く、“京大的な若者が京大をめざすようになる。これにより、京大の学生カラーは、濃く受け継がれていく……。

これは京大だからこその悩みであり武器です。すでに確立されたシステムみたいなものだから、変えようと思ってすぐに変わるものではないでしょう。それに学生文化は、大学本体とは別の文脈で動いているものなので、大学としてコントロールしにくいものだとも思います。

個人的には、さとり世代であったり、草食男子であったり、最近の若者はおとなしくなってきた印象が強いので、京大生の破天荒さに魅力を感じます(度を超さない範囲でなら、ですが)。今後の社会を担う若者には、多かれ少なかれ京大的な成分は必要だと思うし、学生は大学のカラーをつくる主成分の一つです。大学の活性化やブランディングとして、京大を参考に学生の活性化&カラー付けに取り組んでみても面白いのかもしれませんね。難しいとは思いますが、ちょっと面白そうなテーマです。

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