ここ10年ほどで喫煙者の肩身はびっくりするほど狭くなりました。喫煙者の苦難は、喫煙場所がない、タバコが高いだけでなく、いろんなシーンにおよび、就職するうえでも足かせになっています。そして、この採用活動での喫煙者冷遇の波は、大学にも押し寄せているようです。はたしてこれはいいことなのかどうか意見がわかれるところですが、個人的には反対だと思っています。
以下、毎日新聞より。
大分大、非喫煙者を優先採用 一部で疑問の声も
大分大は、教職員採用について、非喫煙者を優先して採用する方針を明らかにした。3月に定めた選考の基本方針に盛り込んでおり、「喫煙者を排除するものではなく、喫煙者を採用した場合は、産業医による喫煙指導を受けさせる」としている。しかし、教職員の一部からは「個人の趣味、嗜好(しこう)を判断基準にすることは疑問だ」という指摘もあり、今後議論を呼びそうだ。(後略)
私は、職業によっては非喫煙者を優遇してもいいと思っています。たとえば、ホテルなどの接客業であれば、ホテルのコンセプトによっては喫煙者排除もやむなしという気がします。大学も、たくさんの学生が行き交う場なので、学生たちが受動喫煙するリスクを避けるために、喫煙者の採用を控えるというのはわからなくもありません。とくに医療系の学部学科がある大学だと、イメージとしてもよくありません。
でも、別の視点に立って見たとき、何ともいえない違和感を抱いてしまうのです。それは、ダイバーシティ推進という視点です。これは、性別や人種、宗教、障害など、さまざまな違いを認め合いつつ、みんながみんなを認め合おう、という意味合いや活動でよく使われているフレーズです。大学は、これの重要な旗振り役の一端を担っているのですが、性別や人種などで差別はしてはいけないと言いつつ、喫煙者か非喫煙者かでは差別をしてもいいのか?と思ってしまうのです。
別にタバコを吸うことを推奨するべし、と言っているわけではありません。タバコが周囲にもたらす被害は確かにあるので、これには十分に配慮すべきだとも思います。でも、タバコが(身体にとって)悪いことだとしても、大学がそれを許容できる場所であるということは別の話だし、良いことだと思うのです。どれがダイバーシティか選び出したら、それはもうダイバーシティではないのではないでしょうか。
……など、偉そうなことを書きましたが、結局なところ、大学は多少の毒も受け入れて欲しいと思っていて、そういうカオスな環境こそが、大学の魅力の一つであり、そういう環境に身を置くことで成長できる部分もあるのではないかと思うわけです。それに「ダイバーシティ」と「カオスな環境」は、とても近しいもののような気がします。お勉強することだけが大学じゃないのですよ、きっと。
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