大学をどうすれば身近に感じてもらえるか、学問にどうすれば興味を持ってもらえるか。大学関係者であったり、私のようなその周辺にいる人の中には、こういったことを日々考えながら、アクセク働いている人がいます。今回、見つけたガイドブックもそんな努力の結晶の一つと言っていいのではないでしょうか。とても魅力的です。
以下、朝日新聞デジタルより。
研究者視点で町歩き 「大学的」高知ガイド本出版
高知県立大文化学部の教授らが、研究者の視点から高知の歴史や文化を分かりやすく解説した「大学的高知ガイド――こだわりの歩き方」を出版した。通常の観光ガイドとはひと味違う話題や知識がちりばめられている。(後略)
実は2年ほど前に、同シリーズの徳島ガイド本が出版され、本ブログでも記事にしています。そういう記憶もかすかに残っていたので、高知ガイド本の紹介を見つけたとき、もういいか……という気もしたのですが、やっぱり面白い取り組みなので取り上げることにしました。
思うに、大学であったり、学問であったり、こういうワードと日常生活の間には、うっすらと、でも確実に膜のようなものがあるように感じています。その膜を面白がって突破しようとする人がいる一方、別世界だと思い、近づかない人が一定数います。おそらく後者の人に、いくら大学や学問の魅力を伝えても、それは伝わらないだろうし、それどころか、大学である、学問である、というのが前面に出れば出るほど避けてしまうでしょう。
こういう人たちに「大学」「学問」を知ってもらうには、何か別の視点を足さなくてはいけません。それは薬の味をごまかすために、何か甘いものを混ぜることに少し似ています。この混ぜ合わせるものとして、今回の高知ガイド本のような「観光」というのは、とても適しているのではないかと思うのです。
理由は、大きく二つあります。一つは、「観光」というものが、老若男女広い世代にとって関係があり、なおかつポピュラーなトピックだということです。これまでいろいろとやってきたなかで実感しているのですが、「大学」「学問」というのは、世間一般から見ると恐ろしくマイナーなトピックです。これに掛け合わせるものが、マイナーなものだと、伝えられるパイはグッと狭まってしまいます。
もう一つは、単純な知識ではなく、体験につながる情報提供だということです。ガイドブックを手にする人のほとんどは「大学」や「学問」ではなく、取り上げているエリアに興味がある人だと考えられます。ガイドブックは特性上、手にした人は、ただ知識を得るのではなく、それをきっかけに体験を得ます。たとえ「大学」や「学問」がサブの位置づけであったとしても、何かしらの行動が伴うのであれば、サブとはいえそれなりに印象が残るのではないかと思うのです。
この大学コラボのガイド本シリーズは、現在、高知ガイド本を含めて、19都道府県のガイド本が出ています。ぜひ、全国制覇してもらいたいものです。あと個人的にですが、大学のキャンパス内に足を運んでもらう情報(学食や大学博物館など)なんかも、しれーっと載せてもらえれば、より大学を知るのに役立つんじゃないかなって思っています!
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