工学院大学が開催する「わくわくサイエンス祭『理科教室』」や明治大学理工学部の「夏休み理科教室」など、理工系の大学や学部では子どもに学問の魅力を伝える「理科教室」が積極的に開催されています。
リケジョという言葉がすっかり社会に定着したのも、これら大学・学部の努力のおかげなのかもしれませんね。
今回、これら理科教室の中で、他とは少し違う特徴を持ったものを見つけたのでご紹介します。
手づくり感のあるウェブサイトがまず目を引きますが、伝えたいところはそこではありません。実はこのイベント、大学や学部ではなく、学生が主催しているんです。
理科教室の目的は、子どもに理工系の学問に触れてもらうことであり、興味を持ってもらうことです。しかし、実はそれだけではありません。以前、とある工学系大学に、理科教室について取材したとき、学生への高い学習効果があることもイベントを続ける大きな理由だとおっしゃっていました。
どの大学であれ理科教室には、体験ベースのプログラムが数多く用意されており、これらプログラムは学生の研究内容と深くひもづいています。学生はいかにして自分たちの研究の魅力を子どもに伝えたらいいかを試行錯誤しながらプログラムを考え、さらにイベント当日、子どもや親たちにプログラムやそのもとになっている自分たちの研究について何度も説明をします。これら行動が、学生にとって“知識の棚卸し”になり、研究の意義や魅力を再認識するとても良いきっかけになるのだそうです。
東京理科大のように、イベントそのものを学生が主催すると、これに加えて、理工系の学びの意義とは何か? 子どもたちは理工系の学びの何に面白さを感じるのか?
など、より大きな枠から理工系の学問について深く考えるようになる、というか考えざるえないようになります。
研究を進めていくと、知識は深くなるものの、視野は狭くなりがちです。とはいえ、今の世の中、理工系であっても専門性とともに、ものごとを横断的に見る広い視野が求められています。そういう意味では、学生が理科教室のコーディネートから関わることは、学生にとって広い視野と専門性の両方を育むとても有意義な機会になるはずです。
願わくはこの高い学習効果にもっと多くの大学が着目し、理科教室の開催を増やしてくれれば……。なんて、勝手なことを小学生の子どもを持つ私は思うのでした。
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