受験生が志望校を選ぶうえで“何を学べるか”や“どんな学生生活が送れるか”とともに重要視されるのが“将来は大丈夫か”という点です。
8月21日に教育進学研究所から「就職に強い学部系統ランキング」が発表されましたが、このランキングを参考にする受験生も多いのではないでしょうか。
就職率の高い学部系統、1位は2年連続「医療系」
大学通信が運営する携帯サイト「教育進学総合研究所」は8月21日、就職に強い学部系統を発表した。1位「看護・保健・医療系」、2位「福祉系」、3位「家政・生活系」がトップ3で、就職に有利な資格が取得できる学部系統が優位にあるという。(後略)
ランキングを見てみると2年連続で「看護・保健・医療系」が1位とのこと。大学関連の仕事をしているとひしひし感じるのですが、看護やリハビリ関連の学部は、今、本当に人気があります。
今回、発表されたのは学部系統ごとのランキングですが、これ以外にも就職率や有名企業への就職者数、企業が評価する大学など、就職を切り口にしたさまざまなランキングが世に出回っています。また、大学自体もこれら就職率の高さを全面に押し出して自校をアピールするところがかなり多くあります。
私自身、大学関連の広報物の制作が主な仕事のため、これら就職関連の数値をドンッと押し出したパンフレットをつくることが多々あります。でも、個人的には就職率が最初に大きく出るパンフレットはあまり好きではありません。
というのも、就職率がはじめに大きく出てしまうと、大学自体が大学の4年間を就職のための“手段”と捉えているように見えてしまい、教育機関の姿勢として少し違うんじゃないかと思うからです。
それに受験関連の統計調査を見ても、受験生や大学1年生をヒアリングしてみても、ほとんどの場合、興味のあることの第1位は「教育」です。そういう意味では就職率が最初に大きく出るパンフレットは『ゼクシィ』の巻頭に「出産特集」があるのと同じで、受験生に対してかなり不親切です。
就職の強さは大学教育の一つの成果であり誇るべきもの。パンフレットにも当然、出していくべきものです。でも一番ではありません。一番に伝えるべきものは、やっぱり教育の質であり内容です。大学は教育機関で、その大学を広報するのであれば、まずは受験生に自校の教育を伝え、そのうえで就職支援や学生生活について伝えるという流れが正しいはずです。
さらにいうと、就職のためとか、学生生活を楽しみたいといった理由で進学してくる子より、大学の学びに興味があって進学してくる子の方が、入学後、どん欲に学ぶだろうし、成長するように思います。そして、大学で大きく成長した学生たちこそが、何よりの大学教育のアピール材料になります。
教育の魅力を伝え、学習意欲の高い学生を増やし成長させ、それによってより魅力的に教育の魅力を伝える。大学広報に関わるものとして、そういうステキな循環をつくるお手伝いができれば、この仕事の冥利に尽きるなぁとつくづく思います。
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