入学式などで慌ただしかった4月が終わり、新入生たちはやっと“大学生”を実感できる余裕が出てきたのではないかと思います。慣れないことも多いでしょうから、ほんとおつかれさまです。
それにしても、新入生に対するサポートは年々充実してきているようですね。朝日新聞に、これらサポートを特集する記事が載っていました。
先輩が新入生のキャンパスライフをサポート
新入生が早く大学になじめるよう、先輩の学生たちが組織的にサポートする取り組みがこの数年、広がっている。友人づくりにつながる催しを企画したり、個別の学習相談にのったりと、内容はきめ細かい。(後略)
今回の記事にある学生同士のピアサポート的な取り組み以外にも、最近では近畿大学のつんく♂さんプロデュースの入学式であったり、100円朝食であったり、学生がスムーズに大学生活を送れるようにする取り組みが本当に充実してきているように感じます。
こういった取り組みについて魅力を感じる反面、少し引っかかるところがあります。というのも、高校まではまったくないんですよね、こういった取り組み。そして、つくろうという動きも見受けられない。それは、必要がないから、なくてもできているから、なのではないかと思います。
では、なぜ大学だけこうも手厚いのでしょう。考えられるのは、高校までと学び方が大きく変わりクラス制でなくなるから。一人暮らしをする人が出てくるなど、親の管理下から(ある程度)抜け出してくるから。でも、最も大きい理由は、大学が圧倒的に買い手市場だからのように思います。
新入生へのサポートが志望理由の一つになる可能性がある。だから、多くの大学がサポートに力を入れる。これ自体はぜんぜん悪いことではありません。でも、それが誤った方向に過剰になってしまうと、学生は学生でなく、消費者になってしまうのではないかという気がします。つまり、大学に学びを求めるのではなく、サービスを求めるようになってしまうのではないかと。
大学は社会に出る一歩手前であり、精神的に大きく成長をしなくてはいけない時期です。この時期に必要なサポートは、自ら考えて動きたくなるようにたくさんの“刺激”を用意することであり、動いて困ったときに手を差し伸べることです。決して学生に“楽”や“安心”を与えることが目的ではないはずです。
誤解なきように言っておきますが、現状の大学の新入生支援について、こりゃダメだと思っているわけではありません。入ってすぐの時期ですし、ある程度のサポートは必要です。それに大学ごと学生の意識やレベルが異なるわけで、こういったサポートがかなり重要な大学があることも理解しています。
ただ年々、充実しているこの手の取り組みを見ていて、また2018年以降に大学間の競争がさらに激化するであろうことを考えると、どこかで行き過ぎてしまうのではないかという気がしてなりません。
学生(新入生)支援はあくまで学生にしっかりしてもらうためのものであって、学生を骨抜きにするためのものではありません。支援をするには、やさしい心と、それ以上の厳しい心がないと、学生のためにならないのではないでしょうか。うーん、なんか子育てみたいですね。
0 件のコメント:
コメントを投稿