学生が主体となって大学が発行するパンフレットなどのツールをつくる授業やプログラムが近年かなり増えてきています。私もいくつかこういったプログラムに関わったことがあるのですが、実際にやってみると、働くうえでの基礎を効率よく学ぶことができ、なかなか良い取り組みだと感じています。
こういった取り組みのほとんどは、入試広報ないし大学広報に関わるツールをつくるのですが、今回、見つけた千葉大学の取り組みは、つくるものがこれらとは異なりユニークです。でも、こっちの方が教育的には良いのかな、と私としては感じています。
学生が編集部、千葉大10年目「環境報告書2015」発行
千葉大学の環境ISO学生委員会が構成・取材・執筆・デザイン管理を担当して制作した「千葉大学環境報告書2015」がこの度完成し、発行された。学生30人が携わり制作した82ページにもおよぶ大作だという。
環境報告書とは、企業、団体、学校などの事業者が、自らの事業活動によって生じる環境負荷や環境に対する考え方、取組みなどを社会に対して定期的に公表することを目的に作成するもの。国立大学では独立法人化を契機に2005年度から作成が義務付けられている。(後略)
少し強引なもの言いをすると、学生がつくる大学の広報ツールは、あった方がいいけれど、なくてもそこまで困らないものがほとんどです。しかし、千葉大がつくる「環境報告書」は作成が義務づけられており、なくてはいけないもの。しかも記事によると、編集長・副編集長を立てて、大部分の業務を学生たちが担ったようで、学生の責任はかなり重大だったように感じます。
社会に出ると、基本すべての業務に責任が生じるわけで、“学生気分”で取り組むわけにはいきません。しかし、学生のときに携われる大半のことは、責任があってもその度合いに限度があります。これは広報ツールの作成だけでなく、ゼミであっても、インターンシップであっても、同じように思います。
学生なんだからそりゃそうでしょと言われれば、至極その通りです。私も学生と広報ツールをつくったとき、すべてを任しきるなんてことは、とてもできませんでした。
でも、それがわかるからこそ、今回の千葉大の取り組みは、すごいなぁと思うのです。やりきった学生たちもそうですけど、そういう決断ができた千葉大に。
また、つくったものが「環境報告書」というのがいいですよね。冊子の特性上、自校の環境面の取り組み、なかでも積極的なもの、魅力的なものを中心にまとめていくので、学生たちの愛校心育成にもひと役買いそうです。
大学には他にも「事業報告書」であったり、教員の「教育・研究活動等報告書」であったり、“なくてはいけないもの”がいくつかあります。これらの作成を学生が主体となって行うのは、高い教育効果が見込めるうえ、学生がつくることで広報的価値も高まります。挑戦してみる価値は十分にあるのではないでしょうか。でも、まぁ、関わる大人たちはメチャメチャ大変そうではありますが……。
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