2017/04/21

“大学の自慢話”を、いかにして受験生に伝えるか(東京理科大)


受験生たちが知りたい大学の情報は、どんなことを学べるのかであったり、ここに進学することでどれくらい成長できるのか、といった情報です。でも、大学が受験生に伝えたい情報はというと、それだけじゃないんですね。自分たちはどんな大学で、どんな理念のもとに教育活動を行っているのかなど、大学の成り立ちやマインドについても受験生に知ってもらいたいわけです。これら大学情報をものすごく斬新な切り口で紹介するサイトを、東京理科大学が開設したので今回はこれをご紹介します。

以下、大学プレスセンターより。

東京理科大学が5言語対応の特設WEBサイト「DISCOVER TUS」を開設 -- 大学の情報をゲーム感覚でDiscoverする 
東京理科大学(学長:藤嶋 昭)は4月14日(金)、特設WEBサイト「DISCOVER TUS」を開設する。これは、入学を検討する日本および海外の中高生や学生に向けて、大学の特長を分かりやすく伝えることを目的としたサイトで、英語・中国語(繁体)・中国語(広東)・韓国語・日本語の5言語に対応。画面をスクロールしながらゲーム感覚でTUS(Tokyo University of Science=東京理科大学)についてDiscover(発見)できる。(後略)
斬新な表現に目を見張る「DISCOVER TUS(http://www.tus.ac.jp/discover/)」



サイトを少しのぞくだけで、他にないユニークさがわかります。大学の特長や理念、歴史などを紹介するサイトなのですが、表現がファミコンゲームなんですね。それで、東京理科大のイメージキャラクターである坊ちゃんとマドンナを動かしていくと、大学の情報が小出しにでてくるつくりになっています。

大学の理念や歴史を紹介するページは、カタく、重たく、長文でだらだらと紹介しがちです。それなのに、このサイトは非常に端的に紹介しており、大学に対してそこまで興味のない人であっても読めるつくりになっています。

大学の教学内容やサポート制度は、受験生にとって自分ごとなので、多少文章にボリームがあっても読みます。でも、大学の理念、歴史といったものは直接的には受験生に関係がない情報です。しかも、これら情報のほとんどは、この大学がいかにすごいかを謳っているわけで、“大学の自慢話”なわけです。

ご存知のように、人の自慢話ほど退屈で苦痛なものはありません。だからこそ、楽しんでもらえるように並々ならぬ工夫をしている、今回のサイトは「わかってるなぁ」という印象を受けました。

さらにこのサイトは、日本語を含め5カ国語に対応しているというのも目新しいです。留学生獲得を視野に入れてのようですが、ここずっと日本のポップカルチャーは海外から注目されているわけで、ゲームをモチーフにしているサイトの表現は、海外の若者からのウケも良さそうです。

教学内容やサポートなどは、受験生が知りたい情報だし、打ち出していくべき情報ではありますが、なかなか差別化がしにくい情報です。なら、別の切り口として、大学の根っこの部分をしっかりと伝え、大学に共感してもらおう、好きになってもらおうというのは、広報のアプローチとしてありだと感じます。

ただ、前提として気をつけなくてはいけないのは、この伝えようとしている情報は“大学の自慢話”なのだということです。文章をダラダラと載せるだけでは、誰も読もうとはしません。本気で伝えたいなら、かなり工夫しなくてはいけないわけです。本腰を入れて取り組んでいる大学はまだそんなにないので、今が力の掛けどきなのかもしれませんね。


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