2017/07/15

大学のSNS企画は、急がば回れの視点で考える(筑波大)


大学広報に携わっていると、時折、思い出したようにSNSを使ったいい施策がないかと聞かれることがあります。要望を受けて案を考えることもあるのですが、予算がかかりすぎたり、成功する見込みが立たなかったりで、なかなか実現することがありません(私の場合は、ですが)。

今回、見つけた筑波大学の取り組みは、ガツガツしておらず広がりがあり、SNSの使い方としてこれくらいがいいのかなと腑に落ちるところがありました。ほんと、これぐらいでいいんですよ。

以下、リセマムより。

筑波大とつくば市、インスタで街の魅力を発信 
つくば市と筑波大学は、写真投稿型SNS「インスタグラム」を活用した協働シティプロモーションを7月からスタートする。大学生協働事業として、20~40代のインスタグラム利用層に、筑波大学の学生がつくばの魅力を発信する。(後略)

SNSを使ったキャンペーンが成功するには、ごくごく簡単に言ってしまえば「SNSで拡散したくなるネタ」があり、それを「たくさんの人で拡散する」ことが必要です。しかし、大学のキャンパスには拡散したくなるようなネタはそうそうないし、キャンペーンの参加者を学生もしくは受験生にしてしまうと参加者数がかなり絞られます。おまけに大学は教育機関という特性上、変化球や尖ったことがやり難い組織です。そう考えると、大学が単体でSNSを使ったプロモーションを成立させるというのは、土台無理があることのように感じてしまいます。

でもこれは、あくまで大学単体で考えた場合です。今回の筑波大が行うSNSのプロモーションは、つくば市の観光プロモーションの一部を担うというもの。場所を大学に限定していないし、ターゲットも在学生や受験生に限定していません。でも、学生が中心となって細かく関わることで、筑波大の存在感がきっちり出ています。受験生に直接刺さる入試広報にはなりませんが、大学広報としてとらえるなら、かなり上手なSNSの利用法なのではないでしょうか。

この筑波大のように“○○○×大学”という視点(大学×○○○ではなく)で、SNSのプロモーションをとらえると、けっこうできることが多いように思います。大学がある地域との“×”はもちろんですが、人気商品、マンガ、USJ、バレンタインデイ、イクメンなどなど、世間が興味のあるものや事柄をテーマにして企業や自治体と組んでSNS企画をつくる。大学単体で行うよりも企画は間違いなく盛り上がるでしょうし、学生たちのアイデアやマンパワーはどんなテーマでも活かすことができるはずです。

大学単体で考えると、ほぼ“無理ゲー”なSNSによるプロモーション。虎の威を借る狐じゃないですが、話題性のある何かとコラボし、それを大学が盛り立てるという視点で取り組むのなら、SNSは魅力的な広報ツールです。私も、つぎ話が来たらこの線で考えてみようかと思います。

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