2017/07/01

大事だけど難しい大学図書館のミッション(近畿大学)


大学図書館といえば、ほぼすべての大学にあるだろう施設です。これまではあって当たり前で、それ以上でも以下でもなく深く考えられることのなかった施設でした。しかし、ラーニングコモンズにスポットライトが当たるようになり、さらに何かと注目される近畿大学に「ACADEMIC THEATER」という巨大な図書館(+α)ができたことによって、今後、図書館の役割や機能に変化がでてくるかもしれません。

…で、今回、とりあげるのは、まさにこの「ACADEMIC THEATER」の取り組み。やっぱりユニークというか、気になることをやっています。

以下、大学プレスセンターより。


AIが選ぶ、あなたの潜在意識が求める一冊 SNSの投稿内容から性格を分析し、学生と本をマッチング -- 近畿大学 
近畿大学(大阪府東大阪市)は、AI(人工知能)がSNSの投稿内容から学生一人ひとりの性格を分析し、その人の潜在的興味に一番合致する本を紹介する新サービスを開始する。この機能は、ウェブアプリケーションの開発などを手掛ける株式会社エイド・ディーシーシー(大阪府大阪市)が開発し、今年4月に開設した近畿大学の新たな学術拠点「ACADEMIC THEATER(アカデミックシアター)」の公式ホームページで、平成29年(2017年)6月26日(月)10:00に公開された。(後略)

「アカデミックシアター」のサイトに新たに追加されたウェブアプリケーション
https://act.kindai.ac.jp/personality_test/


実際にやってみたところ、ものすごくよくできたアプリでした。わたしの場合、外向性と開放性が高く、調和生と誠実性が低いという、活発でうさんくさい人的な結果が出たのですが、チャートで表現された診断結果が直観的に理解できてとてもわかりやすかったです。

診断結果のチャートは5項目からなり、それぞれの項目をクリックすると、さらに各項目を細分化した5つの項目からなるチャートが表示されます。どのチャートも書籍紹介とひもづいているため、一つの診断結果から合計6冊の書籍紹介を見ることができる、という内容になっています。人によるとは思うのですが、わたしの場合、読むジャンルが偏りがちなので、こういった普段読まない本を手に取るきっかけはありがたいですね。

今回の取り組みで一番いいなと思ったのは、これまで大学図書館を使わなかった人にとっても響くサービスになっている点です。昨今の大学図書館の拡充は、自習室の24時間利用であったり、グループワークができるスペースを広げたり、使う人がより使いやすくすることを念頭に置いたものが多いように感じます。

でも今回のものは、学生にとってなじみ深いSNSを使って、学生が盛り上がりやすい性格診断によって図書館の書籍を紹介するという、学生ならまず一度はやるだろうという“学生ホイホイ”的な内容になっています。これだと大学図書館を普段利用していない人、とくにあまり勉強熱心ではない学生でも、さわってみようという気が起こりそうです。

大学図書館がいくら充実していても、使わなければ意味がありません。とはいえ、すでに使わないライフサイクルが身についている人を振り向かせるには、これまでとは異なる切り口でのきっかけが必要です。手軽さ、目新しさ、インパクトという意味で、今回の近畿大の取り組みは、まさにこのきっかけとして申し分ないもののように感じました。

ちなみにこのサービス、わたしが使えたように学外の人でも利用可能です。知られざる自分の一面をのぞくのに、また次買う本を探す参考として、みなさんも使ってみてはいかがでしょうか。

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