大学の地域貢献は、このブログでも何度も取り上げているテーマです。学生のアイデアが光るものや、授業を兼ねたもの、はたまた教員の研究を活かしたものなど、さまざまな取り組みを紹介してきました。でも、今回、見つけたのは、これまでのどのパターンにも当てはまらないアプローチです。
大学という権威と専門性がある機関だからこそできた、ならではの地域貢献。こういう関わり方もありなのかと、個人的にはかなりヒットです。
以下、朝日新聞デジタルより。
愛媛大の技術者資格、国がお墨付き
古くなった橋や道路などを維持、管理する技術者の資格として愛媛大が認定している「四国社会基盤メンテナンスエキスパート」(四国ME)が、国の規程を満たす技術者資格として国土交通省から認められた。四国の大学では初めてで、老朽化が進む社会インフラを守る技術力の向上につながると期待される。(後略)
今回の愛媛大学の取り組みは、社会人を対象にしており、地域が求める人材を育成し、その人たちに大学独自の認定資格を与えるというもの。資格名に“四国”の二文字を入れることで、ただ技術者を育成するのではなく、地域に必要な人材を育てるという強い意志が感じとれます。
「四国ME」は、大学が、大学のある地域に根ざした資格としてデザインしているため、ニーズをよく理解した“かゆいところに手が届く”資格になっていそうです。また、この資格を持つことは、地域のために働きたいという意志の表明にもなるわけで、資格取得者は心・技ともに地域の方を向いていることをアピールできます。そう考えると、四国で働くうえで、かなりの武器になるのではないでしょうか。
今回は社会人を対象にしたものになりますが、この資格の考え方を活かして、学生を対象にした資格があればいいのにな、と感じました。というのも、大学の地域貢献のなかで、地域を活性化させる人材の育成は、最もストレートな貢献方法のひとつです。しかし、人材育成は、卒業生一人ひとりの活躍に焦点をしぼるとよくわかりますが、“大学としての”という広い枠でとらえると途端にあいまいになります。
地域に照準をしぼった大学独自の認定資格は、まさに大学の人材育成による地域貢献の“証”になります。地域にこの資格取得者がたくさんいることは、“大学としての”人材育成による地域貢献の“視える化”に他なりません。さらにいうと、社会人はすでにこの地域で働いている人たちですが、学生たちはこれから働き先を探す人たちです。そんな学生たちに資格を取得してもらうことは、大学のある地域で働くための動機付けを与えることにもなります。
大学はもちろん、地域で働く人や学生、地域そのものにとって、地域に根づいた資格はメリットがあります。地方大学は生き残るために、地方であることの意味や魅力をこれまで以上に打ち出していかないといけません。大学認定資格を使って、これらを強めてみてはいかがでしょうか。
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