2017/10/07

役割が見えると、サイトのかたちが見えてくる(近畿大)


大学業界のセオリーに縛られない取り組みでしょっちゅう注目を集める近畿大学。この大学の公式サイトが全面リニューアルされるようで、その第一弾が10月1日(日)にローンチされました。これまでの大学の公式サイトとは、そもそもの考え方から違う設計がされており、参考になるのかならないのか微妙ではありますが、とても近大らしいサイトに仕上がっています。

以下、大学プレスセンターより。


近畿大学WEBサイト全面リニューアル 「KINDAIカスタム検索」で大学サイトのあり方に一石を投じる 
近畿大学(大阪府東大阪市)は、10万ページを超えるWEBサイトの情報を整理し、ユーザーの求める情報へのアクセシビリティを高めることを目的に、全面リニューアルする。本企画は、ウェブアプリケーションの開発などを手掛ける株式会社エイド・ディーシーシー(大阪府大阪市)と、一年以上の期間をかけて計画したもので、平成29年(2017年)10月1日(日)7:00にその第一弾を公開した。(後略)
大きな検索窓が印象的な「近畿大学公式サイト


このサイトを開くとわかるのですが、ファーストビューから従来の大学のサイトとまったく違います。ずっと見ていると酔ってしまいそうになる躍動感ある映像と、その下部分にドーンと置かれた大きな検索窓。この検索システムは「KINDAIカスタム検索」といい、ユーザーが求めている情報はもちろん、大学が伝えたい情報を上位に表示する仕組みが取り入れられているそうです。

従来の大学公式サイトの場合、検索窓はページの端にあり、目立つところにグローバルナビを設置。オーキャン告知や入試情報などがラージバナーで大きく掲載され、その下に新着スペース、以降、学部学科や特設コンテンツのバナーなどが優先順位をつけて並んでいく……というのがあるあるのパターンです。これら従来型は、できるだけ多くの情報をトップページに並べ、欲しい情報を見つけてもらうようになっています。飲食店でたとえるなら、ふらっと入った客に、メニューをまず見せてオーダーしてもらうつくりです。

比べて近大は、こだわりの強い店主が営む小料理屋の面構えです。メニューには、今日のおすすめぐらいしか載っておらず、他は店主に好みを伝えるとつくってくれる。こんなことができるのは、店主が自分の腕に自信があるからに他なりません。そして、近大の場合の“腕”というのは、10万ページを越える情報の蓄積、そして、大学業界屈指の情報発信力です。

メニューがあるというのは、これしかつくれないという意思表示です。メニューを積極的に押し出さない近大は、さまざまなユーザーの興味に応えられる情報があるのだと暗に伝えています。そして、いくら情報があっても、検索したいワードが頭に浮かばないことには、宝の持ち腐れです。近大の場合、サイトに訪れるまでの広報活動で、しっかりとユーザーの興味をかき立てている。それができているから、サイトは“応える”ことに特化すればいい。そういう思想でやっているように思います。

サイトはサイトのみで完結しているのではなく、大きな広報活動のストーリーのなかの一部として、有機的に存在している。こういった考え方は、別に近大でしかできないわけではありません。自校の広報活動のストーリーをちゃんと描けてさえいれば、その役割にあわせて広報ツールを尖らすことができるはずです。普通に広報しているだけでは目立たない時代です。近大の考え方を取り入れて、ここいらでちょっと思い切ったチャレンジをしてみてもいいかもしれませんね。

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