2018/02/24

クラウドファンディングが縮める大学と個人との距離


研究成果が活かされたもの、学生のユニークなアイデアが盛り込まれたもの。大学から生まれる商品には、ひとくせもふたくせもあって、面白いものがたくさんあります。そんな大学発商品のなかで、じわじわと増えてきているように感じるのは、クラウドファンディングを利用したものです。この商品開発の方法には、これまでにはなかった魅力というか、可能性を感じてしまいます。

大学によるクラウドファンディングを活用した取り組みが増えてきたなぁと以前から思っていて、いざ調べてみたら、大学に特化したクラウドファンディングってけっこうありました。以下、見つけたものを書いてみます。


近畿大学×CAMPFIRE

2016年6月に、日本最大級のクラウドファンディングを運営する株式会社CAMPFIREと近畿大学が提携したことで生まれた。近大ハニーや赤しそ茶が開発されている。

法政大学×CAMPFIRE

2017年10月、上記、近畿大学と同様に、法政大学が株式会社CAMPFIREと提携を結んだことで生まれた特設ページ。同大学デザイン工学部始動で商品開発に取り組んでいる。  

Ready fore College

2018年2月現在、筑波大学と東京藝術大学が参加する大学向けクラウドファンディング。運営するREADYFOR株会社の前身は、東京大学発のベンチャー企業。 

OTSUCLE[おつくる] 

2017年12月、徳島大学が設立した一般社団法人大学支援機構によってつくられたクラウドファンディング。現在は、鳴門教育大学も参加している。 

academist(アカデミスト)

日本ではじめての研究費獲得に特化したクラウドファンディング。支援のリターンとして、一部に研究成果を活かしたグッズのプレゼントがある。


なお上記したサイトを使わず、一般のクラウドファンディングサイトを活用して商品を開発する大学もあります。以前、ほとんど0円大学の記事で取り上げた大阪工業大学の「Kunkun body」もそんな大学のひとつで、これはサイバーエージェントの「MAKUAKE」を使っていました。なんとこの商品、目標金額を225万円に設定していたのですが、4830万6千円という驚くべき金額を集め、目標達成率2146%という数値をたたき出しました。

クラウドファンディングを使った大学発商品の開発が、これまでのものと何が違うかというと、それは開発過程に一般の人を巻き込んでいるか否かです。これまでの大学発商品は、大学と企業や自治体が連携してつくっていました。これって結局のところ組織と組織との取り組みであって、一般の人の目にふれないところで完結していたんですね。でも、クラウドファンディングを使うことによって、開発段階から“個人”が支援というかたちで関われるようになったのです。

大学発商品の多くは研究成果を活用したものになります。学生等をのぞいた一般の人にとって、大学はそれなりに縁遠い場所だし、なかでも研究は大学の最北というか、もっとも遠いところにあるもののように思います。難解なイメージが先行してしまい、内容を知る前に興味のシャッターをおろしてしまう…そんな人も多いように思うのです。

しかし、商品というわかりやすいアウトプットがあり、なおかつその開発段階から関われるとなると、この距離は一気に縮まります。大学発商品×クラウドファンディングという取り合わせは、大学のもっとも難解なところ(であり魅力的なところ)である研究に、一般の人が急接近できる“トンネル”のような役割が期待できるように思います。

これまでにない仕組みで、大学と一般の人たちがつながる可能性をクラウドファンディングが示している。そして、すでにその成果はKunkun body」等の開発によって一部実現しています。この流れが加速すると、きっと一般の人と大学との関係性は変わっていくのではないか、そんな期待を感じずにはいられません。

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