だいぶ前になりますが、大学がHPをウェブマガジン化したり、自校でウェブマガジンを立ち上げて情報発信をする大学が増えてきていると、本ブログの記事で取り上げたことがあります。この流れは今なお続いているどころか、さらに進化してきているようです。新たにスタートした、京都産業大学と超有名雑誌とがコラボしたウェブマガジンからは、そんな大学発ウェブマガジンのこれからを感じさせる強い意気込みのようなものを感じました。
以下、大学プレスセンターより。
京都産業大学とナショナル ジオグラフィックがコラボレーション!「知の世界地図」をテーマに、世界中の「いま」を伝えるニュースサイトをオープン!-京都産業大学-
京都産業大学は、ナショナル ジオグラフィックとコラボレーションし、新たなニュースサイト「Re:世の中」を公開した。ブランディングサイト「Re:大学」で、「世の中を変えたいなら、大学から、自分たちから変えていこう」というメッセージを伝え続けてきた本学が、自ら変わろうとする受験生をはじめ、あらゆる挑戦する人々へ「世界のいま」を伝える。(後略)
「Re:世の中」(https://ksu-re-world.jp) |
京都産業大のニュースサイト「Re:世の中」。このサイトは「『世界、地域のいま』と挑戦者たちの姿」を伝えることを目的にしています。一番の特徴は、世界的に有名な雑誌『ナショナル ジオグラフィック』とのコラボレーションサイトだという点です。
大学と出版系とのコラボというと、近畿大学が『TOKYO GRAFFITI』を発行する(株)グラフィティと大学案内をつくっているのが有名ですが、他にもちらほらと事例があります。でも、今回の京都産業大の取り組みは、これら従来のコラボと毛色が違います。
極論かもしれませんが、今までの大学と出版系のコラボレーションは、有名媒体の名前や表現手法を“借りる”ことで、受験生の関心を呼ぶことをねらいにていました。しかし、京都産業大の場合、受験生が欲しがる内容というより、“京都産業大はこういう情報に興味を持つ人材が欲しい”というメッセージと、それに合った情報を発信しています。
そして、京都産業大にとっての“こういう情報”、つまり「『世界、地域のいま』と挑戦者たちの姿」を伝えるには、一つの大学から提供できる情報量、内容、スケール感では十分ではない。だから、同じメッセージ性が感じられる『ナショナル ジオグラフィック』とコラボをして情報を補強しよう、と考えが行き着いたのではないかと思います。
ある意味、京都産業大のウェブマガジンは、受験生本位ではなく、ものすごく大学本位です。18歳人口が減っている今、受験生本位の情報発信の方がいいのでは?という気もしないでもありません。しかし、受験生本位で情報発信をすると、自ずと内容も、表現も、受験生の感性に近づき、似通ったものになりがちです。
なら、大学として本当に伝えたいメッセージに振り切って伝えた方が、受験生にとっても、大学にとっても、結果的にはいいのではないか。そして、伝えたいのが、情報よりそこに込められたメッセージなのであれば、自校以外の情報であっても問題ないのではないか。京都産業大の取り組みからは、そんな広報的な意図を感じ取ることができます。
この視点で情報発信をする大学が増えれば、大学ごとの個性がもっと際立っていくし、大学広報を通して、これからの社会や、これからの社会が必要とする人材を知ることができるようになるかもしれません。とても魅力的な視点&アプローチなので、ぜひ多くの大学で取り入れて欲しいなと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿