2018/05/19

大学経営にも影響する!? 大学は保護者の熱量にどう向き合うか(関西大)


内定先企業が就活生の親に就職の承諾を得る「オヤカク」などに象徴されるように、昔に比べて学生が親から受ける影響は大きくなっています。これは学生が親を頼るにようになったから、というのもあるかもしれませんが、それよりも子どもに興味をもつ(干渉したがる)親が増えてきたからというのが原因として大きいように思います。

そして、この親たちの興味や心配にどう応えるかは、大学にとって腕の見せどころです。以前、近畿大学では、このニーズに応えるべく保護者向けのポータルサイトを開設して話題になりました。今回これとはまた違い、アナログだけどパワフルなアプローチで、親たちのニーズを受け止める大学を見つけたのでご紹介します。

以下、大学プレスセンターより。

◆わが子の母校は、わが母校!''関西大学と家庭の心のかけ橋''として◆全国最大規模の約5,500人が参加する''父母(保護者)の1日大学''、「教育後援会総会&教育懇談会」を開催! 
このたび関西大学教育後援会ならびに本学では、在学生の父母(保護者)を会員とする教育後援会の定期総会および学部別教育懇談会を、5月20日(日)10:00から千里山キャンパスにて開催します。(後略)

保護者向けの懇談会自体は、大してめずらしい催しではありません。でも、関西大学で開催される「父母(保護者)の1日大学」は規模が違います。なんと例年、約5,500人もの保護者が関西大の千里山キャンパスに集まるそうなのです。

まずこれだけ多くの保護者たちが、わが子の学生生活や成績に興味があるということに驚きです。とはいえ、単なる保護者向け懇談会であれば、さすがにこれだけの数は集まらないのではないしょうか。関西大のイベントは、相談コーナーを「学費」「健康」「留学」などカテゴリーごとに区分けしたり、クラブ活動や施設の見学ができたりと、保護者が来やすい、もしくは来たくなる工夫が随所に盛り込んでいます。

とくに、保護者に向けた各種展示やイベントを開催することは、相談ごとがない保護者が足を運ぶきっかけになるので意義深いように思います。さらに、例年来場者が多いという事実があると、「保護者が大学に行くなんて干渉しすぎなんじゃ…」と、なんとなく自分で自分にブレーキをかけてしまう親でも、足を運びやすくなるのかな、なんていう気もします。

話しを突飛なところに転じますが、現在、大学は卒業生や企業などからいかにして寄付を集めるかが大きな課題になっています。もちろん保護者も対象の一つです。関西大の取り組みを見ていると、保護者の熱量は、思いのほか、というより、かなり高いことがわかります。在学生も恩恵を受けることに寄付金の用途を限定するなら、保護者はかなり有望な寄付金集めのターゲットになるのではないでしょうか。……と、書いた矢先に思いだしたのですが、父母会のお金で「100円朝食」を実施する大学ってありますね。しかも、けっこうたくさん。

すでに実例もあるわけで、保護者との関係性構築は、入試広報のピーアール材料になるだけでなく、経営面でも意味がありそうです。教育や研究と直結しているわけではないので、やや地味なテーマではあります。また、保護者がわが子に干渉することを大学が支援するというのは、いいことなのかどうなのか悩むところもなくはありません。でも、これからさらに少子化が進み、親が子どもにかける費用も時間もますます増えていくのは確実です。ちゃんと受け止め、取り組んでいくべきテーマなのかなという気がします。

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