2018/05/25

反則タックル事件で、日大がやったことと、これからできること(日本大)


ここ最近、連日のようにニュースで、日本大学アメフト部の反則タックル事件の報道がされています。記者会見で司会をした日大の広報職員が、日大ブランドは落ちないとなぜか明言していましたが、大きく落ち込むことは必然です。それどころか、入試広報(受験生向け広報)、大学広報(ブランド広報)ともに、それぞれ理由は違うものの、落ち込んだ信頼を回復させるのには、並大抵な努力では難しいのではないかと思います。

以下、YAHOO!ニュースより。

日大、宮川選手会見に即反論 “潰せ”は「思い切って当たれ」  
日大は22日、アメリカンフットボール部の宮川泰介選手(20)の会見後にファクスでコメントを発表。「QBを潰せ」という言葉があったことは事実と認めたが、内田正人前監督(62)の指示との見解は否定した。(後略)

今回の事件の衝撃は、受験生やその親にとって、採点ミスや研究の不正、横領、脱税といったものより、さらに大きな衝撃を与えたと思います。それは、学生が直接関わる事件であり、学生が不幸になる様子が生々しく伝わった事件だったからです。

前回このブログ記事でも書いたように、わが子に強く関心を持つ親は増えているように思います。この親たちが関心を示すのは、突きつめれば“わが子のしあわせ”です。将来的に、わが子がしあわせになることがわかっているなら、学生生活も成績も、さほど気にはならないのではないでしょうか。見方によっては、ブラック企業などが増え、しあわせになりにくい時代だからこそ、親たちができうる限り、わが子をエスコートしようとしているあらわれなのかなとも思います。

この理由については本題ではないので深掘りはしません。が、これまでにないほど親が子のしあわせに敏感になっている時代なのは確かです。そんな時代に、大学が学生を守るどころか、学生に責任をなすりつけるような対応をした。しかも、その様子を記者会見というかたちで生々しく、何度も放送された。この放送を見て、ここならわが子がしあわせになれると考える親はいるでしょうか。むしろ記者会見をした日大アメフト部の選手にわが子をかさね、怒り、悲しくなる人がほとんどのように思います。

とはいえ、受験生や在学生の親であれば日頃から大学の情報に触れているため、今後の努力次第では信頼を回復させることも比較的容易なのかもしれません。しかし、日ごろ大学との関わがない世間一般の人たちが抱く、日大のイメージ(=ブランド)は大きく悪化したうえ、回復が難しいように思います。これら人たちは、いち大学の細かな変化に注意を払わないので、日大が信頼回復に向けて動き出したとしても、その変化にほぼ気づかないからです。

もちろん人の噂も七十五日(今回は噂ではないですが…)。この事件も徐々に風化してはいきます。しかし、事件が風化することと、イメージの回復は別の話です。イメージは回復に向けて動かないと変わらないし、動いたとしても多くの人はその動きを察知しません。であっても、画期的な方法なんてないわけで、岩間にしみ出るわき水をコップにためるように、長い時間をかけて自らの行動により信頼を勝ち得るしかありません。

でも、唯一例外があります。それは世間の耳目が集まっている、今、このタイミングに、信頼回復に向けて真摯かつ画期的な対応をすることです。ここまで悪化したイメージをチャラにするというのは、さすがに無理でしょう。でも、今、何かをして、世間から信頼を得ることは、時間をあけて何かしら行動をして得られる信頼回復より、はるかに効率的です。そして、その何かというのは、まずは真実を語ること、そしてその真実を踏まえたうえで“この大学ならわが子がしあわせになれる”と感じさせる対応ではないかと思うのです。

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