近年、ホームカミングデーなどに力を入れ、卒業生とのつながりを強めようとする大学が増えてきているように思います。やはり大学にとって卒業生は財産で、さまざまな方面で恩恵を与えてくれる存在なのでしょう。
今回、このホームカミングデーを、これまでにない規模感で実施しようとしているというニュースを見つけました。こういうやり方で開催すると、卒業生にも、大学にも、そして大学のある地域にもかなりメリットがあるので、とてもステキに感じました。
以下、朝日新聞デジタルより。
卒業生、別府に集まれ 4大学・短大「大同窓会」
県外に就職した地元大学卒業生たちに、里帰りしての起業などを検討してもらおうと大分県別府市は、3月に市内の大学・短大4校の学生たちと合同で「大同窓会」を初めて開く。卒業生らが考える新規ビジネスなどを提案し、地元企業や投資家などに採用されれば「最高1千万円規模の起業資金」を調達できる企画も用意した。22日に長野恭紘市長が発表する。(後略)
記事のタイトルでわかるのですが、この「大同窓会」は一つの大学ではなく、複数の大学&短大、そして別府市が協力して開催する、大規模ホームカミングデーといえるイベントです。
地方の場合、卒業生が県外に就職することが多く、いったん県外に出てしまうと再び大学に足を運ぶのは、時間も費用もけっこうかかってしまいます。単純にホームカミングデーを開催するだけでは、なかなかこういう人たちを呼び戻せないのではないでしょうか。では、どうしたら来てくれるのか、ですが、訪れたくなる動機は大きく二つなのかなという気がします。一つは、これまでの人間関係、つまり学生時代の仲間や恩師に会いたくてやってくる。もう一つは、これからの人間関係、つまり仕事に役立つ人脈であったり、恋人や友達をつくりたくてやってくる。
前者を重視する人は、ホームカミングデーの規模の大小はあまり気にしないかもしれません。でも、後者を重視する人だったら、イベントの規模が大きければ大きいほど魅力を感じるはずです。さらに「大同窓会」では、別府市での起業を促し、サポートするイベントも実施します。先ほどの後者、とくに人脈形成などを重視するタイプの人は、このイベントに興味を持つ人は多いはずです。
今回の「大同窓会」は、このように後者の魅力が単独開催に比べて何倍にも増すのですが、だからといって前者の魅力が損なわれるわけではありません。それどころか、人が多く集まるということは、それだけ多くの旧友に出会える可能性が高まるわけで、前者派にとってもメリットがあります。
言うまでもなく、たくさんの卒業生が参加することは各大学にとっても、別府市にとっても喜ばしいことです。関係する全員にとって、いいこと尽くめのイベントに仕上がっているのは、ほんとお見事です。
さらに、このイベントを知って感じたことがあります。大学の地域連携というと、教員の研究や、学生たちのマンパワーやアイデアで地域を活性化させるイメージがありました。今回も、学生たちの力で盛り上げていくものではあるものの、真の主役は卒業生です。地域を活性化させるのは、教員や学生だけじゃないんですね。大学の地域連携のポテンシャルは思っていたよりもずっとあるし、ホームカミングデーと地域(とくに地方)のコラボには、いろいろと可能性がありそうです。とても参考になる取り組みなので、イベントが成功するかどうか注意深く情報を追っていきたいです。
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