2019/01/19

大学はパートナーであり、お客さま。地域貢献を加速させる二つの視点(神田外語大)


今や地域貢献は大学の大きな使命です。どの大学も研究や教育、学生活動を活かして、地域の活性化に関わっています。でも、よくよく考えると、大学による地域の活性化策はこれだけじゃないんですね。神田外語大学の取り組みは、それを気づかせてくれました。

以下、朝日新聞デジタルより。

お得な「幕割」学生呼び込め 幕張の飲食店、活性化狙う 
千葉市美浜区の幕張地区にキャンパスを構える神田外語大学の学生たちが、お得な学割回数券で地元の飲食店を巡る企画を始めた。その名も「幕割(まくわり)」。500円券7枚つづりの回数券は3千円。券1枚でオリジナルメニューと交換できるほか、店によって500円の金券などとして使える。高校生以上の学生、生徒ならだれでも利用できる。1月末までの期間限定企画で、学生たちは「地元の商店街を盛り上げたい」と話す。(後略)

大学の地域活性化の視点のほとんどは、地域と同じ視点に立って活性化策を考えます。でも、実は地域をよくする方法はそれだけじゃなくて、“大学が地域のお客さんになる”というアプローチだってあるわけです。大学には、たくさんの学生をはじめ教職員など、多くの人がいます。その一人ひとりが、大学のあるエリアにお金を落とすと、それだけで地域にとってはうれしいはずです。この効果をさらに高めるためにどうしたらいいか。神田外語大の取り組みは、その一つの答えのように思いました。

実際、大学近隣の飲食店には、学生限定メニューの提供や学割を実施している店を、かなり見かけます。でも、それは個々の取り組みであり、大きく目立つということはありません。今回は、こういった店を集めて「幕割」というかたちにしたことで、ニュースに取り上げられるかたちにしました。

「幕割」のよさは、学割の存在を強く学生に訴えかけられることだけではありません。近隣エリアの店たちが”学生を歓迎している”というメッセージを明確に、強く、示せることです。大学近隣の飲食店、とくに個人経営の店に、学生が足を運ばない理由は、値段云々もあるでしょうが、それと同じか、それ以上に、何となく入りにくい……というのがあるように思います。サラリーマンが、ふらりと目にとまった定食屋に入るのと、学生が知らない飲食店に入るのでは、心理的なハードルがまったく違うのです。思い返すと私自身もそうでした。「幕割」は、このハードルを大きく下げてくれるはずです。

そして、大学の文化というのは、大学だけでなく、大学と地域が刺激し合い融合していくことでつくられるものだと、私は思っています。「幕割」によって、学生と大学近隣の店との交流が促進されると、固有の文化がより強く醸し出されるようになるはずです。教育でもないし、研究でもない。でも、こういう大学の地域貢献も、とても大切だと思います。ちなみに、「幕割」対象の1店に数えられている神田外語大の学食「食神」は、以前、ほとゼロで取材しているので、興味のある方はこちらをご覧ください!

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