2019/06/08

ウェブドラマで、受験生向けのムービー表現に新しい風を(成蹊大)


受験生向けムービーは、今や大学案内、公式HPに継ぐ、第三の情報伝達手段だ!…というと、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、その重要性はかなり増してきたように感じます。そして、ムービーを作成する大学が増えるに連れ、内容も多様化してきました。今回、見つけた成蹊大学の取り組みも、そんな多様化が生み出した賜のひとつ。こういうチャレンジングな取り組み、私は大好きです!

以下、大学プレスセンターより。

2020年4月 成蹊大学に3つの新学科誕生!3つの学科、3人の主人公たちの物語を描くWEBドラマを公開 
2020年4月に3つの新学科が誕生する成蹊大学(東京都武蔵野市、学長:北川浩)は、3学科の学びのエッセンスが盛り込まれた3本のWEBドラマ『新しい3つの学科、3人の物語。』を2019年5月29日(水)より新学科特設サイトで公開している。今回のドラマでは、若手俳優の小西桜子さん、竹内ももこさん、工藤孝生さんの3人が各物語の主人公を演じている。(後略

特設サイトにはドラマ各話の解説も掲載(特設ページ


成蹊大のムービーは、新しくできる3学科の学びを、それぞれ一人の主人公の視点で描いたドラマによって表現しています。各学科のウェブドラマは、4分前後のムービー3本で1つのドラマになる、という構成。実際に見てみたのですが、全体の時間が限られていることもあり多少強引なところがあるものの、飽きずに見られる内容でした。実際に見るまでは、1本目を見終わったときに、2本目を見ようという気持ちが起きるかな?と思ったのですが、そこらへんは問題なく、ほんとお上手なつくりでした。

大学が受験生向けに発信する情報で、なくてはならないものの一つに、学生インタビューがあります。これは大学生活や学びの魅力を、リアリティをもって伝えるのにとても効果的です。でも、リアルであるがゆえに伝えたいことをビシッと伝えられないときがあったり、また逆に大学側の思惑が入りすぎて原稿に違和感が出たりするときがあります。

今回のウェブドラマだと、最初からフィクションという前提で展開されているので、多少の強引さがあっても許されるように感じたし、伝える内容が適度にディフォルメされており、よりビビッドに伝わるようになっていました。さらに、学生インタビューと同様、一人の視点で語られるもののため、親近感を得やすいし、ある程度のリアリティは得ることができます。そう考えると、ウェブドラマというのは、インタビューコンテンツの発展系なのかなという印象を持ちました。

こう書くと、ウェブドラマはとても魅力的なコンテンツに見えてくるのですが、問題点もあります。クオリティです。受験生たちは、普段からドラマを見ている世代です。彼ら彼女らは、大学のつくるムービーという枠のなかで良い悪いを判断するのではなく、当然のように普段見ているテレビや映画と比較してきます。大学のイメージムービーであれば、単純に比較できるものが少ないため判断は甘めにもなります。しかし、ドラマは彼ら彼女らにとって、親しみ深いコンテンツです。テレビドラマや映画と肩を張れるクオリティでないと、すぐに「しょぼい」という烙印を押されてしまいます。

こういったことが考えられるなかで、“やる”と判断した成蹊大の勇気とやる気は、なかなかのものです(しかも3学科も!)。もちろん、親しみ深いコンテンツだからこそ見てくれるというポジティブな受け取り方もできるので、そちらの可能性に賭けたのかもしれません。

実際に制作したウェブドラマのクオリティは、テレビドラマと大きな差はありません。とはいえ、しばらく関係者たちは、Youtubeの画面下に表示される動画視聴回数が気になってしょうがない日々を送るのではないでしょうか。こういう挑戦的な取り組みは、リスクも高く、胃にも悪いですが、受験生への訴求だけでなく、大学広報全体を活性化させる刺激にもなります。ぜひ今後もこういうの増えていって欲しいですね。

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