2014/06/29

市民が守る研究施設(京大)


研究は、本さえあればできるかというと、なかなかそうはいきません。とくに理工系の学問の場合、研究するための施設・設備は不可欠です。

京都大学にある花山天文台はアマ天文学の聖地と呼ばれ、学生や研究者だけでなく、広く市民に研究の場として親しまれている施設です。しかし近年、財政難に陥り、存続が危ぶまれているのですが、存続に向けて市民たちが動き出したようです。

以下、朝日新聞デジタルより。


「アマ天文学の聖地」寄付者招き観望会 花山天文台 
資金不足のため、3月から市民らの寄付を募り始めた京都大付属花山(かざん)天文台(京都市山科区)が30日、寄付した人を招いた天体観望会を開いた。85年前に建てられ、「アマチュア天文学の聖地」とも呼ばれる施設。約40人の参加者は重厚な建物を見学し、火星観測などで成果をあげた45センチ屈折望遠鏡で土星を眺めた。(後略) 

記事のリンク先を見てみると、寄付は現時点ですでに400万円ほども集まっているとのこと。市民やアマ天文学者にとって、この天文台がいかに大切なのかがよくわかります。また、天文台側が観望会を開いて感謝を伝えるというのもいいですよね。しかも、これらが3ヵ月という短期間のうちに行われており、大学と市民がしっかり呼応しているのが感じられます。

近年、大学のオープンエデュケーションにかかわる取り組みが盛んになってきています。しかし、多くの場合、大学と市民は教える側、教えられる側にわかれてしまい、市民は受け身になりがちです。でも今回のように、自分たちで学びの場を守っていこうとすると、愛着もこれまで以上に湧くように思います。たぶん天文台という、なかなか代替がきかない施設というのも大きいんでしょうね。

また、今回の記事だけではわかりませんが、市民が天文学を研究できる貴重な場として、アマ天文学者たちが集まってくるのであれば、アマ天文学者たちのコミュニティが花山天文台を中心にできているかもしれませんね。

研究するうえで専門知識や研究施設も大切ですが、インスピレーションが湧く環境も大切です。ここがアマ天文学者たちが集まり、語り合えい、互いに刺激し合える場なのであれば、それは単なる研究施設という以上の価値があります。ぜひ市民と大学が協力し、この施設を守り通してもらいたいものです。

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