2017/09/08

忙しい働き世代と大学との接点のつくりかた(京都大)


私が編集長をしている「ほとんど0円大学」は、一般の人にもっと大学を活用してもらいたくて、さまざまな大学の取り組みをレポートするウェブマガジンです。サイトをやっていると、つくづく働いている世代は大学に足を運ぶ時間がないんだろうなーと感じます。じゃあ、忙しいビジネスマンと大学との接点をつくるにはどうしたらいいか? 今回見つけた京都大学の取り組みは、その一つの答えなように思うのです。

以下、YOMIURI ONLINEより。


経営コンサルなどの新会社…京大が設立へ 
京都大は29日、現職やOBの教員を講師役に企業研修などを行う事業会社「京大オリジナル」を2018年に設立する計画を発表した。最先端の研究成果を民間のビジネスリーダー養成につなげるのが狙いで、国立大では初めての試みという。(後略)

ビジネスマンが忙しい、なら、大学から行けばいい。とてもシンプルで、でもシンプルだからこそ力のある回答です。「京大オリジナル」は、京都大学の教員を研修の講師として派遣することで、また企業をコンサルティングすることで、この回答を真剣に実践する組織だと感じました。

大学との接点をつくるうえで、一人ひとりに働きかけるのも手ではありますが、企業という組織に話を持っていった方が効率的な面があります。もちろん、大学の社会人へのアプローチとして、これだけでいいとは思いません。ですが、大学との接点がものすごくうすいこの世代と大学とをつなげる最初のステップとして、これはかなり効果があるのではないでしょうか。

さらにいうと、こういった取り組みを大学ではなく、大学出資の別会社でやるというのがいいですね。別会社でやると単独で収支をとれるようにしなくてはいけません。そうなると、ちゃんと儲けるために、常に改善し発展していく必要が出てきます。社会貢献の一環としてやるのも大学らしくて好きなのですが、ビジネスでやらないとどうしても出力が上がらないし、ルーティン化しがちです。

また、記事によると今回の京大が初ではなく、早稲田大学と慶應義塾大学ですでにはじまっているとのこと。調べてみると早稲田大学には「早稲田大学ビジネスコンサルティング」と「早稲田大学アカデミックソリューション」という会社があり、慶應義塾大学では経営管理研究科で経営者や管理職向けの高額セミナーを開催していました。目に留まったのは「早稲田大学アカデミックソリューション」です。ここは大学向けのコンサル会社。大学が大学をコンサルティングする、しかもそのために会社までつくる。早稲田だからこそできることですね。ほんとすげぇな…っていう感じです。

なんにせよ、18歳人口が減り続けるのは必然なわけで、大学は別口で稼ぐ必要があります。しかし、大学は大学である限り、何でもかんでも稼げればOKというわけにはいきません。今回のように、大学の知を上手に使ってビジネスをつくり上げるというのは、とても大学らしいスマートな稼ぎ方なように思います。それにこういったビジネスが増えることで、忙しい働き世代のなかにも、大学に振り向いてくれる人が増えていけば、個人的にすごくうれしいです。だからぜひ頑張って欲しいものです。ガンバレ! 京大オリジナル!!

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