少子化待ったなしの現在、どうすれば生き残れるかを、どの大学も真剣に悩み考え、チャレンジしています。これは私立大だけでなく、国立大にとっても同じことがいえるし、国も積極的に改革をすすめています。
来年法改正によって実施できるようになる見込みの国立大学の法人統合も、そんな改革の一手です。法人統合が可能になると、一つの国立大学法人が複数の大学を経営できるようになるわけですが、これによって大学はどう変わり、周囲にどんな影響があるのでしょうか。
以下、YAHOO!ニュースより。
名大と岐阜大、法人統合で合意=県境越えで初、20年度実現へ
名古屋大(名古屋市)と岐阜大(岐阜市)は25日、大学運営法人の統合で基本合意した。(後略)
今回、取り上げた記事は名古屋大×岐阜大ですが、ほかにも小樽商科大×帯広畜産大×北見工業大であったり、静岡大×浜松医科大であったり、奈良教育大×奈良女子大であったり、いくつかの大学で実現に向けて議論がされています。
法人統合は、事務作業の効率化や研究施設の共有、教育・研究の連携などなど、大学にとってメリットは多分にあるわけで、今後さらに多くの国立大が法人統合に向けて動くように思います。この動きが活発化し、今回のように県をまたいでエリアで統合されていくと、いつかはエリアごとにメガ国立大学法人ができ、どの国立大もどこかに属する……なんてことになるかもしれません。これはこれで面白そうですが、大学の多様性という意味では、ちゃんと確保できるのか不安なところもあります。
さらに、国立大(とくに地方)は、そのエリアの課題解決や学術的・文化的な情報発信拠点という役割を担っています。法人統合により、教育・研究が整備されていくと、これまであった学部がなくなったり、一部の分野に特化する可能性もあり、そうすると大学としてのエッジは立っていくものの、地域にとってはマイナスになるかもしれません。
でも、別視点で考えると、今後、社会はこれまでより、さらに速いペースで変わっていき、その変化がぜんぜん予想のつかないものになる可能性が高いです。一部の総合大学をのぞくと、この変化に一つの大学で対応していくのは難しいように思えます。
法人内に専門の異なる複数の大学があるメガ国立大学法人であれば、時代の急激な変化にも比較的対応しやすいでしょう。その恩恵は、教育だけでなく、研究や地域貢献など、多分野で享受されるわけで、そう考えると地域にとっても法人統合はプラスになるのかなぁという気もしないでもありません。
大学は、地域の複雑な生態系のなかに組み込まれた、なくてはならない巨木のような存在です。国立大学の法人統合は、ほぼ間違いなく起こる大学業界の大きなうねりなわけで、この前代未聞の荒療治が、大学はもちろん、大学が組み込まれている生態系にどんな影響を与えるのかを、今後注意深く見ていきたいと思います。
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