2013/12/23

書籍『1000%大学活用術』の紹介②


前回に続き、『年齢不問!サービス満点!!1000%大学活用術』で取材した取り組みの中で、特に印象的だったものをランキング形式で紹介します。

今回、紹介するのは第2位です。

さて、その内容は……ジャカジャカジャカジャカ、ダッタン!!

明治大学の「明治大学シェイクスピアプロジェクト(MSP)」です。

このプロジェクトでは、学生たちが授業の一環として、プロスタッフの支援のもとシェイクスピア劇に取り組みます。

キャストはもちろん、演出や舞台美術、衣装、音響、照明、広報まで、すべて学生たちが行っており、さらに面白いのは脚本もシェイクスピアの原文を学生たちが翻訳してつくっていきます。

準備にかける期間は、およそ1年間。非常に力を入れていることもあって、動員数は毎年3,000名を越えており、学生演劇らしからぬ人気を誇っています。

学生主体の取り組みには、どこか見ていてこそばゆい気持ちになる、素人っぽさ、学芸会っぽさを感じるものが多々あります。
また逆にクオリティは高いけど、よくよく聞いてみると、主体になっているのは教員で、学生は単なる小間使いだった、というのにもたまに出くわします。

しかし「MSP」は、学生が主体になっていながらも、素人っぽさがほとんど感じられません。しかも、学生が脚本をつくっていることもあって、「イケメン」「パシリ」など、通常のシェイクスピア劇ではまず使わない学生の“はなし言葉”がいたるところで使われているのに、ほとんど違和感がないのです。

端的に言うと、良い意味での学生らしさ(柔軟なアイデア、学生視点 etc.)が出ているのに、悪い意味での学生らしさ(素人っぽさ、甘え etc.)が見えない作品でした。

これらは表裏一体のものなので、良い面だけを引き出すのは至難の業です。さらに、これを芸術大学ではなく、普通の総合大学でやっているのがすごい。

シェイクスピアという骨格がしっかりした題材を使っているため、学生たちが少々冒険的なアレンジをしても劇が壊れないというのはあるように思います。
でも、この劇が面白いのは、シェイクスピアだから、ではありません。理由は単純にして明快。学生たちがめちゃくちゃ努力しているから、これに尽きるように思います。
夏休みは週5日、夏休み明けから劇が公演される11月までは週6日(平日は放課後のみ)練習しており、その練習量は体育会クラブの強豪校かそれ以上です。

たかが(というと失礼ですが)、一つの授業です。頑張ったところで、手に入れられるのは数単位。実利的に考えると、まったく見合っていません。でも、そういうことじゃないんでしょう。理屈じゃない。だからこそ、どこまでも努力できるし、努力をするからいいものができる。

頑張るからこそ、いいものができる。
身もふたもない話ですが、学生らしさ(悪い意味での)を脱却するには頑張るしかないんですよね。MSPを取材し劇を観て、それを強く感じました。

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