大学博物館とひとことで言っても、実はいろんなタイプのものがあります。今回は大まかにわけてどんなタイプの大学博物館があるのかをご紹介しましょう。
まずは大学博物館の王道、総合博物館です。これはその名から想像がつくように、幅広い分野の展示がされており、大学の“知”を一番ビビッドに感じられる博物館になります。代表的なのを挙げると「東京大学総合博物館」や「京都大学総合博物館」など。
ちなみに名古屋大学をのぞく、すべての旧帝大の大学博物館に“総合”の文字がついています。幅広い研究領域と長い歴史があると所蔵する研究資料が多くなり、ジャンルも広くなるわけで、必然的に“総合”とつくようになるのかなという気がします。
次に、これは私立に多いのですが、大学の建学理念や教育内容と強く結びついた展示をする大学博物館です。たとえば「禅」の精神を重んじる駒沢大学なら「禅文化歴史博物館」、大阪音楽大学なら「音楽博物館」など。テーマが明確なので、自分の興味に合うものを探しやすいし、展示を通して大学の特色を感じとることもできます。
そして、三つ目。創設者や卒業生といった大学関係者をテーマにした大学博物館です。これも私立に多く、従来の大学博物館より規模の小さい“記念館”として設置されている場合や、大学博物館の1コーナーに組み込まれている場合もあります。有名どころだと東洋大学の「井上円了記念博物館」や、明治大学の「阿久悠記念館」などがあります。
このタイプの博物館は、テーマとなる人物に興味がある人におすすめなのはもちろん、人物にフォーカスしているため、内容にストーリー性があり、見ていて入り込みやすいというのも特徴です。以前、「阿久悠記念館」に足を運んだことがあるのですが、時系列に展示がされており、良質な伝記を読んでいるようでとても面白かったです。
これら3つのタイプ以外にも、マンガ図書館と博物館が融合した京都精華大学の「京都国際マンガミュージアム」や、博物館より水族館に近い東海大学の「東海大学海洋科学博物館」など、オンリーワンの個性をもった大学博物館はごまんとあります。
さらに芸術系大学にある大学附属の美術館も広い意味では大学博物館の一種だし、広い展示スペースをもつ大学図書館も少なくありません。
大学博物館ひとつをとっても、クラっとするほど多様な世界が広がっています。そして、どの大学博物館も各大学固有の知や個性、凄みがつめ込まれています。
まずは腰を上げて、近隣の大学博物館に行ってみてはいかがでしょう? きっと、大学のことを見直しますよ。
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