来年、龍谷大学に新しくできる農学部の広報で、面白いアプローチをしているのを見つけました。まずはこの動画を見てください。
動画では子気味のいい音楽にのって、ショートケーキをさまざまな学問的視点で取り上げていきます。私自身、見ていると、何度も、へぇっ、という言葉をこころのなかにでてきました。
学問について語れるほど勉強に打ち込んだわけではありませんが、学生や教員の方々を取材していると、学問の面白さって、ある種の驚きなのかな、と思うときがあります。
知らなかった知識に出会う、自分では思いもつかなかった考え方にふれる、これまで得た知識と知識が意外なところでくっついて新たな発想を生まれるなどなど。そこには発見があるし、発見することによる驚きがある、そんな風に思うわけです。
今回の龍谷大の広報は、まさにこの驚きを感じさせてくれるものです。あ、なんか面白そう、と学問の世界が手まねきしているのを感じます。
一般の人の感覚だと、こういった切り口の大学広報って、王道のように感じるかもしれません。でも、実はかなりめずらしいアプローチなんですね。というのも、大学が伝えたいのは、学問の魅力ではなくて、“その学部が他大学の類似した学部に比べて、どういう風に勝っているか”だからです。
そのため強調するポイントも、特徴的な教育プログラムであったり、高い就職実績であったり、施設・設備の充実であったりするわけです。もちろん、それは悪いことではありません。でも、そこには説得力や具体性はありますが、胸をドキドキさせるものはありません。
少し意地悪な書き方をしますが、大多数の大学は、受験生が大学に入りたい、勉強をしたい、と思わせる情報をあまり発信していないんです。相対的にみて、こっちの大学(ないし学部)の方がいいと判断できる情報があるだけで。
どの大学であれ、大学の一番の魅力は“知の集積地”であるということです。しかし、大学が、大学同士の競走に熱心になるあまり、学ぶことの魅力をしっかりと受験生に伝えなくなると、大学業界全体の価値が徐々に下落していくのではないかという気がします。
それに学ぶ魅力を伝えるのは、受験生はもちろん、一般の人が大学に目を向けるよいきっかけにもなるはずです。
今回の龍谷大のアプローチは、龍谷大だけでなく、大学業界全体の“肥やし”になるものです。今後、このような取り組みが広まっていくと、大学業界、そして社会が今よりちょっと豊かになるような気がします。
▼龍谷大学農学部 特設サイト
http://www.ryukoku.ac.jp/agr/department/experience/
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