2014/04/18

【ほとルポ】天理大学附属 天理参考館



マンションと和風の建物が融合したような独特な外観が目を引く、天理大学附属博物館「天理参考館」。ここは東アジアを中心に世界各国の生活文化資料・考古学資料が充実しています。よく晴れた土曜日、少し遠出をしてこの博物館に足を運んでみることにしました。

入口横にある券売機で入館券を買い、エントランスで半券をちぎってもらい中へ。入るとすぐにアイヌの衣服や装飾品があり、その先に「チャンスン」という不気味な顔が彫られた5本の丸太が並びます。解説を読むと、韓国の村の守り神とのこと。前を歩いていた家族連れの子どもがえらく怖がっていて、昔はこんな感じに村に入ろうとする人を威嚇していたのかなと、ふと考えが頭によぎります。

韓国の守り神“チャンスン”。不気味だが愛嬌もある

朝鮮半島のコーナーを過ぎると、中国・台湾、台湾の先住民、バリ、ボルネオ、インドといった国・地域の展示が続きます。展示されている国の衣服や食器、生活雑貨を見ていると、使い込まれているものが多く、中には欠けたり、ほつれたりしているものがあることに気づきます。

これは決してお金がないから中古を展示しているわけではありません。天理参考館は、そもそも天理教を布教する国の文化や生活を知るために集めた資料を展示する場として生まれました。

そのため、現地の人々の暮らしぶりをより深く理解できるように“新品をできるだけ避け、人々が使っていたもの”を中心に集めているのだそうです。

さまざまな国・時代の展示が所せましと陳列されている

実際、展示資料を見ていると、時代も国も文化も違う人たちの生活をのぞき見しているような気分になり、なかなか不思議です。

メキシコの服なんかは今でも普通に着ることができそうな柄だったし、逆にパプアニューギニアの仮面はかなりエキセントリックで、今の時代にこれをかぶって外出したら職質されるまでに5分かからない感じでした。

見ていると引き込まれる、パプアニューギニアのお面

それに、中国・台湾や朝鮮半島の展示を見ていると、なんとなく日本はこの文化圏に属しているんだな、というのが感覚的にわかります。博物館という複数の文化を俯瞰して見られる場所だからこそ得られる貴重な体験です。

天理参考館は12階が“世界の生活文化”をテーマに展示しており、3階は“世界の考古美術”の展示と企画展を開催しています。

訪れたときの企画展は「近鉄電車展 -日本最大の私鉄開業1世紀-」。世界の生活文化や考古美術とはあまり関係なさそうですが、近鉄は私が高校時代に使いまくった鉄道なので、これはこれで楽しかったです。

色鮮やかな馬の置物、たしか中国の作品だったような……

鉄道ファンにはたまらないであろう「近鉄電車展」

館内に入ってから出るまで、さくさく見てまわったのですが、それでも1時間半以上かかりました。ゆっくり楽しむなら、23時間はかかりそうです。また、この日は残念ながら開催されていなかったのですが、折紙や勾玉づくりのワークショップもあるようでした(要・予約)。

天理参考館の展示を見ていると、文化とは何かとか、国や時代が違っても人はしっかり生活しているんだなぁとか、普段はまず考えないようなことが頭に浮かび、わかってもないのにうんうんと頷きたい気分になります。

大学博物館は、知的な刺激にあふれているし、費用もリーズナブルです。ひまをもてあました休日の過ごし方として、これはかなり有意義なんじゃないか、実際に行くと改めてそう感じます。


Information
天理大学附属 天理参考館
○所在地:〒632-8540 奈良県天理市守目堂町250
○電話:0743-63-8414
○開館時間:午前930分~午後430(入館は午後4時まで)
○入館料:大人400円、団体(20名以上) 300円、小・中学生200


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